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『キョンシー×タオシー』の第弐章無料プレゼント企画が開催中

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少女道士と元暗殺者の青年が秘薬「仙丹」をめぐってドタバタ劇を繰り広げる電動伝奇堂の『キョンシー×タオシー』の体験版使ったキャンペーンについて紹介する。

『キョンシー×タオシー』について

『キョンシー×タオシー』は、いわゆるノベルゲームと呼ばれるタイプのゲーム。物語の主役は、500年の時を生きる道士リンリン(見た目は9歳ほど)と、組織から足を洗ったせいでその身を追われることとなった元暗殺者の青年ルアン。タイトルはそのまま彼らを指しており、「タオシー(道士)」はリンリン、「キョンシー(殭屍)」はルアンを意味している。
左がリンリン、右がルアン
現在公開されているのは、本作の第壱話体験版(製品版は未リリース)。第壱話では2人の出会い、そしてルアンがキョンシーになった経緯が主に描かれている。主人公ルアンが死んでしまうとはいえ、彼はキョンシーとしてあっさり復活し、全体的にはコミカル路線。俗世に疎いリンリンと元凄腕の暗殺者ルアンとの軽妙なやりとりがベースとなっており、一言で言うと、私のイメージするライトノベルやギャルゲーのイメージに近い(あくまでイメージです)。テキストも読みやすい。

そんな本作最大の特徴が動的なビジュアル演出だ。コロコロと変わるキャラクターの豊かな表情に、カメラワークを感じさせる背景エフェクト、コマ割りのような画面構成など、とにかく画面が賑やか。ノベルゲームとは言ったものの、そのプレイ感覚は特異でマンガやアニメを見ているのに近しいものがある。公式サイトが「動的伝奇ビジュアルノベル」と銘打ち、「無駄にガンガン動きまくります」と言及しているのは、嘘偽りのない宣伝文句である。その表情豊かなシーンづくりは端的に言って「楽しい」。
このシーンではリンリンが左右に動いており、とにかくよく動く

第弐章無料プレゼント企画概要

『キョンシー×タオシー』では感想、レビュー、イラスト、実況動画などを公式に募集しており、レビューを行った*1プレイヤーに、コミックマーケット84で配布予定の第弐章がプレゼントされるキャンペーンを開催している。

レビューの報告は、以下のメールアドレス宛、あるいは公式に設けられた掲示板へと行う。報告がないと公式サイトが見逃してしまう可能性があるため、報告はほぼ必須といってよいだろう。

renrakuyoアットden2do.dom

Twitterからも以下のハッシュタグ入りでつぶやくことで参加が可能。

  • #den2do
  • #キョンタオ
  • #電動伝奇堂
  • #キョンシータオシー

なお、プレゼントはTwitterのDM経由で渡されるそうなので、開発の電動伝奇堂のTwitterアカウントをフォローする必要がある。

電動伝奇堂のTwitterアカウント
https://twitter.com/den2do

第壱章の第壱話というだけあって、登場人物は3人と少なく、物語は始まったばかりという印象である。プレイ時間は20分程度と極めて短い。しかしながらキョンシーとタオシーという不可思議な設定も、凝りに凝った演出も魅力的なのでプレイしてみてはいかがだろうか。体験版は本作の公式サイトよりダウンロード可能。私はこのクオリティが続いて第壱章が終われば、製品版*2を購入したいと考えている。ちなみに第壱章の第弐話は、2013年3月末を予定しているそうだ。

*1 公式サイトには「レビューしてくださった方」とあるが、サイトを見る限りでは、感想のつぶやきやイラストの投稿など感想であれば形態を問わず、プレゼント対象となるように読める。詳細は不明
*2 『キョンシー×タオシー』の製品版は、通常版と18禁版の2バージョンを予定している

『キョンシー×タオシー』公式サイト
http://den2do.com
2013年3月7日追記
ニュース記事として書いたので感想は控えめにしていたのだが、せっかくなので現段階での感触、今後について感じることを書いておこう。

まずやはり最大の魅力である演出は「素晴らしい」の一言に尽きる。さまざまな動き、表情が登場するので、画の使い回し感もない。ただし、いかに優れた演出と言えど、飽きの問題は懸念するべきだろう。ある程度の慣れは仕方ないにしても、やはり本質的にはノベルゲーム。プレイヤーの心を強く引っ張るシナリオ部分に期待したいと思う。

「キョンシー」という設定も、そこかしこにあるものではなくフックとしては上々かと思うし、それでいてシナリオの味わいは、この手のゲームのとしては馴染みのある方向性に仕上げてある。パッと見の印象との解離もないだろう。演出に限らず、おもしろい素材が揃っていると感じているので今後に期待して動向を見て行きたい。


『To the Moon』の続編が発表

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ストーリーや音楽を中心に海外で絶賛され、のちの日本語版リリースも話題を集めたRPGツクールXP製のアドベンチャーゲーム『To the Moon』。開発のFreebird Gamesがその続編の情報を一部公開した。

続編のタイトルは『A Bird Story』で、1人の少年と翼に怪我を追った1羽の鳥による物語が描かれる。夢や記憶といった部分に焦点が当てられるのは前作『To the Moon』と変わらないようだ。
大きな特徴は以下の2点。

  • ストーリーを主軸に据えているものの、全編にわたってダイアログなし
  • 『To the Moon』と同じ世界を舞台にしている

前作のプレイヤーのなかには『To the Moon』で登場したエージェント、エヴァとニールが登場するのか(あるいはその関係がどうなるのか)が気になっている方もいるかと思うが、新作も『To the Moon』と共通の世界観を持つものの、彼らは登場しないと明言されている。

また、『A Bird Story』は、『To the Moon』の過去を描くものとなっているとのこと。今作で登場する少年は、シリーズのエピソード2でエヴァやニールの患者として現れるのだそうだ*2

*2 今回は短編扱いでエピソード2への前振りという認識なのだが、違った報じ方をしているところもある。英語読解に自信がないので、原文を読むのを推奨。以下に公式サイトより該当部分を引用しておく
While Dr. Watts and Dr. Rosalene aren’t in this game (chronologically, it takes place before their time), the boy in it eventually grows up to become their patient in “episode 2″ of the series.
前作で評価の高かったのが収録楽曲。私もそれに心奪われた一人なのだが、今回の発表に合わせてタイトルテーマとなる曲がbandcampで公開されている。



YouTubeに投稿された動画からはタイトル画面も確認できる。
牧歌的な印象が強い前作とは異なり、キービジュアルやタイトル画面からは都会的な印象が伺える。また、キービジュアルのみならず、オリジナルサウンドトラックに「Paper Plane」という楽曲があるあたり、紙飛行機が物語の鍵を握っているのかもしれない。

『A Bird Story』のリリースは2013年中頃を予定。公式サイトでプラットフォームは明言されていないようなのだが、前作同様にRPGツクールXPでの制作、PCでのリリースとなると思われる(PCでのリリースと報じているところもいくつかある)。

ソース:
Freebird Games公式サイト - A Bird Story
http://freebirdgames.com/a_bird_story/

おまけ

発表数日前に出てきた『To the Moon 2』ネタ画像

『Hotline Miami』について語り合うイベントHOTLINE TOKYOが開催

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先日、私は次のようなメッセージを受信した。
■BEEP■
HI THIS IS ‘SHINIMAI’ AT THE LAB.
I NEED CREWS WHO TALK ABOUT INDIE GAMES.
RIGHT AWAY PLEASE GATHER TOGETHER HERE!
I’M AT EAST TOKYO STREET.
MAKE SURE YOU HAVE LONG TALK WITH US、
I REALLY NEED SOMEONE TO GET THROUGH TO.
THIS GAME IS TERRIBLE AWESOME!
SO I NEED HELP…
■CLICK■
「愛好者たちよ、集え。そして想いの限り『Hotline Miami』について語らえ。集結の場所は東京。」といったところだろう。というわけで『Hotline Miami』でああだこうだと語り明かすユーザーイベントが開かれるので、告知しておきたい。

イベント名は「HOTLINE TOKYO」

イベント名はゲームタイトルを模した「HOTLINE TOKYO」。主催である死に舞氏から企画趣旨をもらっているのでそのまま掲載する。
インディーゲームについて話し合う座談会。

  • 日時:2013年3月16日(土)15時~(3時間程度を予定)
  • 場所:都内某所(電話・メールで個別に指示!)

前回、単発企画として『To The Moon』についての座談会を行ったが、予想以上に楽しかったので、続編として企画する。

今回、扱うのはDevolver Digitalから昨年10月にリリースされたDennaton Gamesの『Hotline Miami』。北欧の著名クリエイターCactusことJonatan Soderstromの商業デビュー作であり、リリース後、すぐに各メディアから大絶賛された。シンプルかつハードなゲームとしての魅力はもちろん、バイオレンスに満ちた蠱惑的な世界観と謎めいたストーリーの本作は、1人でプレイするだけではなく、多くのプレイヤーと語るのに格好の素材だろう。

現在、座談会参加者を個別に連絡中。参加希望者は以下の死に舞のメールアドレスに連絡せよ! Ustreamでの配信を予定している、当日参加できない方もTwitterなどでコメントも可能となるだろう。

また、事前にメールなどで感想、コメント、考察などを送ってもらえると、当日、紹介する予定でもある。

座談会終了後、打ち上げを行う。全体としてインディーゲーム・ファンのための軽いオフ会のようなものなので、気軽に参加してもらってよい。また前回扱った『To The Moon』についても時間があれば、話す予定。

打ち上げのみの参加もOK! 『Hotline Miami』の魅力と謎を語り明かすと共に、インディーゲームのファンが交流することが目的だ。

  • 主催・司会 死に舞
なお、上記2名に加え、ほかに数名の参加が決定している。告知係の私も参加予定である。参加の意思表明は主催、死に舞氏へのコンタクトで行う。

Twitterアカウント - 死に舞
https://twitter.com/shinimai
メール
aka.shinimaiアットgmail.com

基本的には『To the Moon』のときに行ったような、ユーザー間の交流を目的とした座談会である。『Hotline Miami』が好きな諸兄も、私のようにさっぱり気に入らなかったプレイヤーも参加は大歓迎であるとのこと。

『Hotline Miami』について

2012年リリースの作品のなかでも一際異彩を放っていたゲームであろう。包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリといった凶器で轟音轟音、そして轟音を破り、インドアーの罠を仕掛けながら「我、マシーン」と化した反逆のマーダーが、吐いちゃ胃腸異常を引き起こすゲームである。血に塗れた徒手空拳と刃物、再装填なしの銃器で殺戮と輪廻を繰り返す狂乱劇である。表面的にはパターン確立の覚えゲーであるが、個性の塊とも言えるゲームプレイが幾多のプレイヤーを陶酔、耽溺させ、多方面からの賛辞を浴びている。

『Hotline Miami』公式サイト
http://hotlinemiami.com/

購入はSteamやGOGから行える。価格は$9.99。

Steam - 『Hotline Miami』ストアページ
http://store.steampowered.com/app/219150
GOG - 『Hotline Miami』ストアページ
http://www.gog.com/gamecard/hotline_miami

有志などによる日本語化プロジェクトや日本語版はリリースされていないが、本作のダイアログを日本語訳してまとめてある場所も複数存在するため、それを調べさえすればとりあえずのストーリーの理解には困らないだろう。

備考

以下に本作に関連する記事をいくつか挙げておく。

Videogamedrome - Hotline Miami マイアミへのラブレター
http://vgdrome.blogspot.jp/2012/11/hotline-miami.html
NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義 - vol.5 『Hotline Miami』
http://www.ele-king.net/columns/regulars/nababa/002606/
さちこの隠れ家 - ゲームレビュー:Hotline Miami
http://blog.livedoor.jp/the_world_slash-sachiko99/archives/4380581.html
セラミックロケッツ! - HOTLINE MIAMI もう二度と戻らない日々へのラブソング。
http://defr4gment.blogspot.jp/2013/01/hotline-miami.html
GAME・SCOP・SIZE - 唐突に現れた途方もなく狂暴かつ凶悪「Hotline Miami」ホットラインマイアミ・感想と考察
http://game-scope-size.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/hotline-miami-a.html

イベント後でも、イベント前でもゲームに関して誰かが得た感情を見られるというのはいいものである。そしてそういったものを直接的にコミュニケーションしてみないか、というのが今回のイベント趣旨だろう。

私自身はゲームをアカデミックに語ったり、メタ的な分析、考察をするのは苦手なのだが(それを知るのは好き)、前回の『To the Moon』座談会がとてもおもしろかったので、今回もさまざまな視点に触れられるのではないかと期待している。

インディーゲームの小棚:Shelf#06『Gear: Full Circle』

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「作り手というのは、信奉されたい願望と批評されたい願望とを併せ持つ一人SM」といった旨のツイートに同感を覚えた筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第6回は、アメリカのDigiPen Institute of Technologyの学生作品『Gear』を紹介する。その名の通り歯車(gear)のようなギミックを駆使して進めるというワイヤーアクションだ。ワイヤーアクションゲーム好きなのは認めますが、ワイヤーを使った一人SMはしていないことはちゃんと主張しておきたいと思います。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

『Gear: Full Circle』を開発したのはDigiPen Institute of Technology*1の学生らからなるTeam 3。開発期間は2008年9月から2009年11月と公式サイトには記載されている。以下のような実績もあり、学生作品ながら高く評価されたことが伺える。

  • Independent Game Festival 2010 - Student CompetitionにおいてHonorable Mention
  • Indie Gmae Challenge 2010 - Non-ProfessionalにおいてGrand Prize Winner
  • DigiPen Institute of Technology - 2008-2009 Student Game Awards

*1 アメリカのワシントン州レドモンドにある、コンピュータインタラクティブテクノロジーの研究、教育を行なっている学校。かの『Portal』の元となった『Narbacular Drop』を生みだしたのが、この学校の学生チームである。また、『Portal 2』に採用されたペンキのギミックも、同校在籍の学生作品『Tag: The Power of Paint』に由来している。ほかにもアクロバティックレーシング『Nitronic Rush』や視点切り替えをモチーフにしたファーストパーソンパズラー『Perspective』など同校出身で注目を浴びているゲームは少なくない。

ゲームはオーソドックスな2Dアクションで、ADで左右に移動、Wかスペースキーでジャンプといった操作になっている。本作の要とも言えるワイヤーアクションの操作も難しくない。マウス操作でカーソルを操作し、マップ上にある丸型のオブジェクト、または壁面に設置されているデコボコしたオブジェクトにカーソルを合わせて、左マウスボタンでワイヤーを射出すればよい。ワイヤーの先は歯車型になっており、歯車をオブジェクトに引っかけることでプレイヤーの軌道が変化する。押している左マウスボタンを放すと、ワイヤーを外して慣性に合わせたジャンプができる。
丸型のオブジェクトにワイヤーを引っ掛けると、その場で円運動を行う
青いオブジェクトなら時計回り、赤いオブジェクトなら反時計回りだ
デコボコしたオブジェクトにワイヤーを引っ掛けると、オブジェクトに沿って平行移動できる
赤のデコボコしたオブジェクトのほうが移動速度が早く
末端部に至ると、大ジャンプで自動的にオブジェクトから離れる
進むべき方向も『スーパーマリオ』シリーズのコインよろしく、ステージ上に金色の歯車が配置されており、これに合わせて進んでいけばよいので迷うことは少ないだろう。

ステージ3からは緑の丸型オブジェクトが登場する。これはワイヤーを引っ掛けるとそのオブジェクトの周囲の地形が回転するというギミックで、ステージにパズル要素を与えている。なお、緑っぽい色の歯車は、しゃがんでいるとき(操作はS)のみワイヤーを引っ掛けることができる。
右側に進みたければ……
しゃがんだ状態で緑のオブジェクトにワイヤーを引っ掛けて地形を回転させる
地形が変化して右側に進めるようになった
難易度は初心者向けの「Mild」と慣れたプレイヤー向けの「Spiky」の2つが存在。MildもSpikyも地形自体は同じものだが、Spikyでは触れるとダメージを受けてしまう針が各所に設置されている。Spikyは闇雲に難易度が高くなってしまうので、最初はMildでゲームに慣れるのがよいだろう。
画面左上の歯車がライフゲージ
これがなくなると最寄りのチェックポイント(テレビのようなオブジェクト)から復帰する
ワイヤーアクションと言うと、どうしても空中ブランコを連続で乗り継ぐようなタイミング重視の難しめのゲームになってしまいがちだが、本作では慣性の弱まりをスポイルしており、結果的にとっつきやすさにつながっている。もちろん、ゲームに慣れてしまえばワイヤーを連続でつなげてステージを突破するような楽しみ方もでき、小粒ながら良質なアクションゲームという印象だ。
ステージはノーマル5ステージに加えてクラシックステージもいくつか用意されている。クリアまでは2~3時間程度だろう。『Gear: Full Circle』はDigiPenのサイトで無料公開されている。グラフィックやSE、BGMといった部分は貧弱といった印象もあるが、やや脱力気味の独特の雰囲気に味わいがあるのも事実。ワイヤーアクション好きには、ぜひともプレイをオススメしたい。

『Gear: Full Circle』公式サイト
http://b-lee.net/gear/
DigiPen Institute of Technology - 『Gear: Full Circle』
https://www.digipen.edu/?id=1170&proj=8716

ファタモルオーケストラが完成、公開へ

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同人ゲーム『ファタモルガーナの館』のオーケストラ調アレンジメドレーが公開された。企画趣旨などについては過去記事を参照のこと。

『ファタモルガーナの館』公式サイト
http://novect.net
『ファタモルガーナの館』公式サイト - ファタモルオーケストラ&アンケート企画

関連記事:
『ファタモルガーナの館』とのコラボを含んだ企画のお知らせ
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/01/blog-post_28.html
『ファタモルガーナの館』オーケストラアレンジ曲が決定
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html

アレンジを行ったのは『ファタモルガーナの館』に楽曲を提供している守屋昂生氏。メドレーはYouTubeにて公開されている。収録曲はプレイヤーの投票で選ばれた7曲。
以下は私の個人的な感想(なお、私に音楽的な素養、並びに音楽を語る素養はない)。

0:00 Novectacleのロゴ表示に流れるテーマ
過去にあった同様の企画『霧上のエラスムス』オーケストラに、こちらの曲は入っていなかったと記憶している。

1章より「Ephemera」 0:21~
作曲:Mellok'n
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=21s

体験版では「幼いふたり」とサブタイトルがついていた曲。女の子っぽい印象だった原曲に比べ、こちらは男の子っぽくて、表裏一体を成すかと思わせる。

2章より「Fecha me」 1:51~
作曲:Gao
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=1m51s

導入の重々しさに始まり、荒々しいギター(?)サウンドが繊細なピアノラインを際立たせていて、非常に好みだ。特に3:00あたりからのさめざめと泣くピアノの部分がよい。原曲も大好きなのだが、今回のアレンジでいちばん好き。

3章より「Ciao carina」 4:10~
作曲:守屋昂生
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=4m10s
多くのプレイヤーがそれまでとのテイストの差に驚いたであろう3章冒頭の曲。バラエティ豊かな本作の収録楽曲のなかでも、この曲の衝撃はかなりのものだったので、やはり原曲のほうが私は好みである。歌がないので寂しいというのもあると思う。

ちなみに作曲は守屋氏なので、自身によるアレンジとなる。原曲は以下

4章以降より「Giselle」 5:34~
作曲:Gao
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=5m34s

人気曲のひとつ。「歌がないから寂しい」と先ほど言ったばかりだが、それを払拭させる味わいがあってとてもよかった。

4章以降より「Cicio」 7:45~
作曲:Gao
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=7m45s

歌詞の意外さが記憶に残っている曲。原曲よりもっと穏やかな印象になっているかな。

4章以降より「They are crying」 10:44~
作曲:Yusuke Tsutsumi
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=10m44s

個人的にイントロ部で、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番月光を思い出してしまう曲。こちらは原曲のほうが好き。

4章以降より「The house in Fata morgana」 13:57~
作曲:Mellok'n
http://youtu.be/yoh5hRyZLLQ?t=13m57s

メドレーの締めを飾るメインテーマ。すごく壮大になった。

歌がなくなってしまうので心配だったが、その心配を吹き飛ばすくらいにさらに楽曲を好きになった。と同時にやはり歌の印象が強い楽曲がたくさんあることに気づかされたのも事実。身体は歌とセットで覚えている部分もあるのだと思う。特にFecha meが好きだったのもそのへんが理由だろう。

あらためて守屋氏に感謝。

Takaki Moriya official site
http://level-t-e.wix.com/takakimoriya

『ふしぎの城のヘレン』がPLAYISMでリリース

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ずいぶんと遅れてしまったが、大好きなゲームなので。

『ふしぎの城のヘレン』とは

『ふしぎの城のヘレン』は、RPGツクール2000製のフリーゲーム。フリゲ2012 - あなたが選ぶ今年のベストフリーゲームにて第2位に輝いたことで知った人もいるかと思う。

斬新かつ、ロジカルな楽しさを持つ1対1の戦闘システムや、よく動く自作ドット絵を筆頭に上質のゲームプレイが詰め込まれているRPGだ。プレイ時間は4~6時間程度とRPGとしては短いながらも、「無駄なく丁寧」が徹頭徹尾貫かれており、その内容は濃密の一言に尽きる。

端的に言って「オススメだからやりなさい」という感じ。

フリーソフト超激辛ゲームレビュー - イチオシレビュー「ふしぎの城のヘレン」
http://gekikarareview.com/review_rpg/1211heren.html
ねこねこブログ - フリーゲーム「ふしぎの城のヘレン」クリア。戦略性に優れた戦闘システムが素晴らしい傑作RPGです。ランダム要素排除から生まれる戦略性、世界樹の迷宮の完成系。*1
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1682372.html

関連記事:
レビュー『ふしぎの城のヘレン』
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
『ふしぎの城のヘレン』製作者インタビュー
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/08/blog-post_15.html

*1 私が『ふしぎの城のヘレン』を知り、プレイするきっかけとなった記事。このゲームに出会えたのは、このブログのおかげ

Ver1.10の主な変更点

PLAYISMで配信されている『ふしぎの城のヘレン』は、当初公開されていたオリジナル版にあたるVer1.00とは微妙に細部が異なっている。その差は本当に些細なものだが、私が把握している範囲で一応列挙しておく。

RTPが不要になった
一部シーンにおける楽曲の差し替え*2

*2 Ver1.10をプレイして確認したわけではないので確かなことは言えないが、ファイル構成上なくなっていると思われる曲が5曲ある。新規に楽曲を収録しているわけではないようなので、もともと使っている曲で代用しているものと推測される

私も含めたすでにプレイ済みの人の多くがきっと望んでいるであろう、「あの武器の入手」は今回も実装されていない。
Ver1.10はPLAYISMのほか、開発であるさつ氏の公式サイトでも入手が可能。

PLAYISM - 『ふしぎの城のヘレン』
http://www.playism.jp/games/helen/
さつ氏の公式サイト
http://www.geocities.jp/i_to_may/

『ふしぎの城のヘレン』の今後

本作はPLAYISMの手によって英語版がリリースされることが決定している。英題は『Helen’s Mysterious Castle』。ローカライズはまだ終わっていないようだが、今週末には英語圏のユーザーに向けて解説付きの動画配信を行う模様だ*3

*3 英語版PLAYISMでは新たな告知、宣伝方法としてストリーミング配信を使っていく方針のようだ。配信はTwitch.TVを使い、「Playism Live」という名をつけている

PLAYISM.TV - Playism Live: Helen’s Mysterious Castle
http://www.playism.tv/blog/?p=33

なんとなく英語版以外の動きもありそうな気配が漂っているのだが、正確なところはなんとも言えないというか気のせいで肩透かしを食らう可能性も大きい。とは言いつつも、続報に期待したい。

おまけ

開発のさつ氏自身は画を描くのだが、PLAYISMで使用されているバナーは氏によるものではない。さつ氏が委託し、こうのす氏が描いたものである。

こちらがPLAYISMで使用されているバナー
ちなみにこうのす氏は、バナーの没ラフをTwitterにアップしている。制式採用されたバナーもよいが、武器で迷っているところがいかにもこのゲームっぽくて、個人的にはこちらのほうが好みだ。

インディーゲームの小棚:Shelf#07『日常侵食ホラー つぐのひ』

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深夜に女性の悲鳴で目を覚まして、恐る恐る家を出たものの、はしんと静まりかえる夜の帳が広がっていただけだった、という経験のある筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第7回は、日常に潜んでいそうな不気味な恐怖を描く短編ホラー『日常侵食ホラー つぐのひ(以下、つぐのひ)』を紹介する。ちなみに「気のせいでよかった」と胸を撫で下ろしたものの、心中に残ったモヤモヤは数日晴れなかったのは言うまでもない。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

開発はしあん氏。公式サイトによると本作のほかにもいくつかのゲームを手がけており、『つぐのひ』も含め、すべてのゲームはRPGツクール2000で製作されているようだ。

しあん氏の公式サイト I'm Cyan



http://imcyan.web.fc2.com/

「RPGツクール」と耳にすると、スーパーファミコン後期のようなドット絵を想像しがちだが、本作は実写ベースのグラフィックで、パッと見の印象はRPGツクール作品らしかぬものとなっている。なお、登場人物はのグラフィックには実写を使用したうえで目のあたりにぼかしっぽい処理を入れている。これがなんとも言えない風合いを醸し出しており、ホラーに相応しい怪しげな雰囲気を放っている。
匿名性を帯びた主人公の描写が、より不気味な世界観を演出している
「日常侵食ホラー」と題されているとおり、本作では普段のふとした隙に潜んでいそうな恐怖が描かれている。例えば、視界の隅で一瞬何かが動いた気がするだとか、帰宅したらなんとなく部屋の様子が違うような違和感を覚えた、といったようなものだ。霊感などを持ちださなくとも、誰にでもそういった経験のひとつやふたつはあるだろう。人によってはたくさんあるかもしれない。そして『つぐのひ』では、かような不安を煽る奇妙な現象が一日ずつ(つまり「つぎのひ」になるたびに)、主人公へと忍び寄っていくというストーリーを採っている。
第一話の主人公は男子学生
帰り道でいつも不安になるような場所は、誰にでもあるものだ
第二話の主人公は女子学生
ある日、彼女は交差点に佇む異様な雰囲気の女を見つける
操作は一風変わっているが、あえて説明するほど複雑なものではない。ノベルゲームと異なる独特の手触りを持っていて、ぜひともその部分も楽しんでほしいので、ここでは深く言及することを避けようと思う。

本作のプレイ時間は短く、第一話は5分程度、第二話は10分程度で終わる。しかも内容を話そうとすると、ほとんどネタバレになってしまうため、個人的にはあまり語りたくない。とは言っても、これでは紹介としてあまりにあっさりすぎるため、ひとつだけ付け加えておこう。

『つぐのひ』の持つ怖さは、マンガ『不安の種』*1のそれに近い。

両者で描かれている恐怖は、そのどれもが知らずのうちに身近に迫っているもので、触れてはいけないに決まっている嫌悪の塊である。それにもかかわらず数々の不気味な事象たちは、そこに確かな理由を持っていない。つまり、なぜそのような事象が起きているか想像することはできても、実際にどうであるかは確かめる術がないのである。結果的に我々が事象を回避することは不可能で、物語を知ってしまった瞬間に、我々は逃れられない不安の袋小路に追いやられてしまうのである。

『つぐのひ』も『不安の種』も根底に流れているのはどこまでも有機的な戦慄だ。いずれの作品も物語の受け手に漠然とした恐怖や不安を植え付けていくのは大きな共通点と言っていいだろう。

*1 中山昌亮によるホラー漫画シリーズ。秋田書店刊。2013年には実写映画が公開予定となっている。『不安の種+』の1巻はWeb上で試し読みができる。有名な「オチョナンさん」のエピソードもあるので、知らない人もこの機会に一読をオススメしたい。

ソク読み - 『不安の種+』 1巻
http://sokuyomi.jp/product/fuannotane_002/CO/1/
※試し読みは、リンク先の「試し読みする」から

実写を使ったビジュアルも素晴らしいが、特筆すべきは音響周りだろう。音声をベースにした心をざわつかせるSEが多数用いられており、プレイヤーの心理を不安で絡めとっていく。雑踏の音を意図的に消して無音を作るといった演出もシンプルながら随所で効いている。

『つぐのひ』はこの手のホラーゲームのご多分に漏れず、夜間に部屋を暗くしてヘッドフォンでプレイするのがオススメだ。ただし、第二話では一部音量が大きくなるシーンがあるので、プレイ時の音量には注意してほしい。2つの物語を比較した場合、第二話のほうが全体的な完成度がずっと高いので、第一話を過去にプレイした人にも第二話を勧めておきたい。
「つぎのひ」が繰り返されるたび、それは彼らとの距離を縮めていく
(画像は編集ミスではなく、もともと文字が薄暗く表示されている)
『つぐのひ』はふりーむ!にて公開中。第一話、第二話ともに無料で公開されている。

ふりーむ! - 『日常侵食ホラー つぐのひ』(第一話相当)
http://www.freem.ne.jp/win/game/4381
ふりーむ! - 『日常侵食ホラー つぐのひ 第二話』
http://www.freem.ne.jp/win/game/4734

現在のところ、第三話の予定があるかどうかは不明だ。開発のしあん氏は現在、戦闘つきの和風アドベンチャー『雪絵』を開発しているようで、こちらは2012年度内の完成を目指している様子。このため、『つぐのひ』の動きは2013年度以降になりそうだ。『雪絵』も個人的な好みの雰囲気を感じ取れるのでいつかプレイしてみたい。

同人サークルgranatが過去作2本を値下げキャンペーン中

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めっきり春っぽくなったと思ったところに、同人ゲームサークルgranatの春休みキャンペーンが始まっている。

キャンペーン概要

同サークルは「幽明心理ADV」と銘打ったゲームを過去に3本リリースしており、そのうち直近の2作がキャンペーン対象となって値引き販売されている。
キャンペーン名:
春休みに分岐ゲーをプレイして憂鬱になろうキャンペーン

内容:
同サークルの以下の2本について、ダウンロード版を期間限定で500円値下げ。両作品ともameroadとgumroadでの購入が可能となっている。

『辿り歌』 1500円 → 1000円

『辿り歌』公式サイト

ameroad - 『辿り歌』
gumroad - 『辿り歌』

『比翼の枷』 1500円 → 1000円

『比翼の枷』公式サイト

ameroad - 『比翼の枷』
gumroad - 『比翼の枷』


実施期間:
2013年3月20日~同4月7日

幽明心理ADV第1弾の『薄明のアジール』に関しては、Android版の開発が始まったことによって販売が終了しているため、今回のキャンペーンには含まれていない。雰囲気を掴めるかと思うので、『辿り歌』と『比翼の枷』のオンライン説明書を貼っておく。

紹介しておいてなんだが、私は今回のキャンペーン対象である『辿り歌』も『比翼の枷』もプレイしたことがない。にもかかわらずgranatというサークルのキャンペーンを紹介したのには理由がある。それは同サークルの手がける『すり替えられた果実の破片』というゲームが、個人的にとても期待しているゲームのひとつだからだ(逆に言えばそれだけしか理由はない)。

『すり替えられた果実の破片』に興味を持ったきっかけの記事と、同作の公式サイトを貼っておく。

【週末ゲーム】第507回:同人ゲーム体験版特集 2012冬 - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20121221_579780.html
『すり替えられた果実の破片』公式サイト
http://homepage1.nifty.com/croe/doujin/kazitsu.html

『すり替えられた果実の破片』は体験版を経ずに製品版からプレイしたいと思っているため(2012年末のリリースが予定されていたが、諸事情により2013年5月に延期されてしまった)、実際のプレイ感覚などはまったく分からない。

granatの館山緑氏は、自身を「分岐バカ」と形容するほどに分岐が大好きで、たくさん分岐するゲームに心血を注いでいる。キャンペーン対象2作も含め、同サークルの手がけるゲームの特徴が「分岐が多いことと、薄暗いストーリー」なので、これらのポイントにピンと来た方はプレイしてみてはいかがだろうか(余談だが、これまでにリリースされている幽明心理ADV3作については作中世界が繋がっているそうだ)。

[ソース]
【granat】春休みに分岐ゲーをプレイして憂鬱になろうキャンペーン - 赤色液体製作所
http://liquidred.tea-nifty.com/dokuiri/2013/03/granat-e2a8.html
granat同人総合ページ - LiQUid rED
http://homepage1.nifty.com/croe/doujin/doujins.html
LiQUid rED
http://homepage1.nifty.com/croe/

スクラップ:BitSummit関連記事

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2013年3月9日に京都で開催されたBitSummit*1の記事をスクラップしておく。

BitSummit公式サイト
http://bitsummit.org/jp/

*1 BitSummitは、日本のインディーゲーム開発者と海外メディアを結びつけることを主な目的として立ち上がったイベント。京都のデベロッパQ-GamesのJames Mielke氏が主催となっている。なお、ここで言う「インディーゲーム」というのはかなり広範なものを指す


関連記事:
BitSummitについて、参加した開発者たちの感想
http://nydgamer.blogspot.com/2013/03/bitsummit_24.html

国内メディア

Game*SPARK

数が多いのでいくつかのカテゴリに分けて掲載する。

■基調講演

【BitSummit】Q-Games吉田謙太郎氏基調講演「Q-Gamesの歴史」抜粋
http://gs.inside-games.jp/news/394/39421.html
【BitSummit】SWERY氏基調講演「海外デベロッパーに学ぶ成功のためのプロセス」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39422.html
【BitSummit】『TOKYO JUNGLE』クリスピーズ片岡陽平氏基調講演、「普遍×普遍=斬新」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39423.html
【BitSummit】Epic Games Japan河崎社長基調講演「ゲームエンジンを導入するメリット」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39424.html
【BitSummit】ミドルウェアUnity大前広樹氏基調講演、「"当方ボーカル他募集"も応援したい」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39425.html
【BitSummit】『洞窟物語』の開発室Pixelが新作アクション『Gero Blaster』を正式発表
http://gs.inside-games.jp/news/394/39426.html
【BitSummit】ベン・ジャッド氏基調講演「日本のゲーム業界が終っているという声には納得していない」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39427.html
【BitSummit】ValveによるSteam基調講演、Steamと開発者の利益配分などリアルな質問も
http://gs.inside-games.jp/news/394/39428.html

■インタビュー

【BitSummit】イベント主催者James Mielke氏インタビュー「日本にはまだまだ凄いインディー開発者がいる」
http://gs.inside-games.jp/news/394/39429.html
【BitSummit】開発者インタビュー iOS『コトモン』のMonstars
http://gs.inside-games.jp/news/394/39430.html
【BitSummit】開発者インタビュー STG『RefRain』のサークルRebRank
http://gs.inside-games.jp/news/394/39431.html
【BitSummit】開発者インタビュー『トーキョージャングル』のクリスピーズ
http://gs.inside-games.jp/news/394/39432.html
【BitSummit】開発者インタビュー『LA-MULANA』のNIGORO
http://gs.inside-games.jp/news/394/39433.html
【BitSummit】ミドルウェア『BISHAMON』のマッチロックへインタビュー
http://gs.inside-games.jp/news/394/39434.html

■そのほか

【BitSummit】インディー系開発者向けイベント『ビット・サミット』開催。日本のインディーズシーンを後押し
http://gs.inside-games.jp/news/394/39420.html
【BitSummit】他にも色々あった!ビットサミットで見かけたあれこれ-人混み、レッドブル、サカモト教授など
http://gs.inside-games.jp/news/394/39435.html
【BitSummit】ゲームクリエイター飯野賢治氏への追悼映像“Kenji Eno Tribute”が上映
http://gs.inside-games.jp/news/394/39441.html
【BitSummit】ビット・サミット初開催を振り返って-ひたむきさと積極性、そして課題と将来
http://gs.inside-games.jp/news/394/39442.html

ファミ通.com

「日本のインディーゲームは欧米のような注目を浴びるべき」 日本産インディーゲームを世界に紹介する“ビット・サミット”主催者を直撃!*2
http://www.famitsu.com/news/201303/01029563.html
とてつもない熱気! 日本のインディーゲームを海外に紹介する“ビット・サミット”をリポート
http://www.famitsu.com/news/201303/10030006.html

*2 イベント前の記事であるが、主催者側の声を詳しく聞けるのでこのリストに掲載している。

Excite

日本のゲームは終わったのか?「BitSummit」の逆襲
http://www.excite.co.jp/News/reviewapp/20130319/E1363622735199.html

ガジェット通信

「自分が作りたいゲームを作ろう」 日本のインディーズゲームを世界へ発信するイベント『BitSummit』レポート
http://getnews.jp/archives/298243

GameBusiness.jp

BitSummit MMXIIIで見た「日本人ゲーム作家たちの」想像力・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第27回*3
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=7668

*3 「CAVYHOUSE」があたかもゲームタイトルのような記述になっているが、これは開発サークルの名称である

The Japan Times


*4 記事は英文だが、一応国内メディアとして記載しておく

国外メディア

The Indie Game Magazineがひとつも取り扱っていなかったようで、意外。GameSpotの記事は動画も交えている。(プレイヤーであるため)参加できなかった身としてはいちばんうれしい。

GameSpot.com

What is a BitSummit?
http://www.gamespot.com/la-mulana/videos/what-is-a-bitsummit-6405155/Five Must-See Games From BitSummit
http://www.gamespot.com/features/five-must-see-games-from-bitsummit-6405226/Why Gaming Needs More Events Like BitSummit
http://www.gamespot.com/features/why-gaming-needs-more-events-like-bitsummit-6405151/

Kotaku

Japan’s Indie Games Are an Untapped Resource of Cool
http://kotaku.com/5989854/japans-indie-games-are-an-untapped-resource-of-cool

IndieGames.com

Veteran Japanese devs make a game on fighting terrorists with a wrecking ball
http://indiegames.com/2013/03/veteran_japanese_devs_monken_f.html

Polygon

Tokyo Jungle director advises Japanese indie developers to be unique
A look at Tokyo Jungle's 2D prototype
Deadly Premonition: The Director's Cut pre-orders include DLC

Edge Magazine

Something About Japan: the indie verdict after Valve pitches Steam at BitSummit
http://www.edge-online.com/features/something-about-japan-the-indie-verdict-after-valve-pitches-steam-at-bitsummit/

wired.com

At BitSummit, Japan’s Indie Game Creators Come Out of Hiding
http://www.wired.com/gamelife/2013/03/bitsummit/

非メディア

参加した開発者のブログなどを以下にまとめる。

小松菜屋 - 小松菜雑記::HTT (HSP Tips & Talk!)

[BitSummit]BitSummit参加しました!まとめリスト。
http://d.hatena.ne.jp/hatahata/20130313/p1
[Twitter]2013年03月12日のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/hatahata/20130313/p2

FullPowerSideAttack.com - 戸袋に手を引き込まれないように

BitSummitに参加した雑感とか
http://nanmo.hateblo.jp/entry/2013/03/11/002647

EF-12(開発はクアッドアロー)

えーでるわいす

BitSummit
http://edelweiss.skr.jp/?http://raevatain.blog9.fc2.com/blog-entry-1225.html#A_Blog

ぷちでぽっと

bitsummitのどうでもいい参加記録
http://globule.sblo.jp/article/63550879.html

ZENITH BLUE

BitSummit行ってきたった
http://zenithblue0.blog.fc2.com/blog-entry-8.html

NIGORO 楢村匠氏






Asterizm 仲村尚史氏









PLAYISM / Active Gaming Media

PLAYISMのBitSummitレポート
http://playism.blogspot.jp/2013/03/playismbitsummit.html
BitSummit参加開発者 大体完全版
http://playism.blogspot.jp/2013/03/bitsummit.html
革新性と多様性:BitSummitを振り返りつつ思うインディーゲームのあり方
http://blog-ja.activegamingmedia.com/2013/03/bitsummit.html

Togetter

2013-03-09 「日本のインディーズゲームを世界に広げる」BitSummit参加者のつぶやきまとめ
http://togetter.com/li/469095
同人とインディーズに関する定義論議
http://togetter.com/li/470297

Fricker

Fricker - Jeriaska氏によるBitSummitの模様を収めた写真45点*5
http://www.flickr.com/photos/jeriaska/sets/72157632975840807

※あの記事が抜けているなどの情報があれば、コメントなどで教えてほしい

雑感

まず、Game*SPARKが2名の記者を投入して、20本にも迫る量の記事を書いたことは驚きであり、賛辞を送りたい。時間がなく、会場を自由に行き来するのも困難だったという声を多数聞くなか、インタビュー記事も作成している姿勢には頭が下がる想いである。

今回のBitSummitはあまりゲームそのものに焦点を当てた記事が少なく、新たに記者の視点からどんなゲームか伝えている記事はかなり少なかったという印象だ。どういったゲームが公開されていたかをトレーラーで知ることができても、やはり実際のプレイの印象を知りたいと思うのは必然である。

ちなみに私が個人的に気になっていたのは以下のタイトル。
  • 『真夜中は星づくよ』
  • Project TorqueL
  • 『Pavillion』
  • 『巫剣神威控』
  • NIGORO新作
  • 『EF-12』
なかでも『真夜中は星づくよ』は体験版がリリースされているものの、ゲームのコアに当たる部分まではわからなかったため、今回のイベントでこれといって報じられていなかったのが残念だった。『Pavillion』は日本産ではない印象を受けるが、開発者はスウェーデンのストックホルムと東京にいるようだ。

BitSummitについて、参加した開発者たちの感想

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BitSummitに参加した開発者の方々に、今回のイベントの感想を伺った。質問は以下の5項目で構成されている。
  1. 団体名
  2. 団体、及び出展作品名の紹介
  3. BitSummit出展にいたった理由
  4. 今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)
  5. 今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと
BitSummit公式サイト
http://bitsummit.org/jp/

関連記事:
スクラップ:BitSummit関連記事
http://nydgamer.blogspot.com/2013/03/bitsummit.html

開発者からの回答

次に示す16の開発から回答をいただいた。リンクをクリックすることで各開発の回答へジャンプできる。左端の↑ボタンで記事上部に戻ることが可能だ。


各開発チームごとの回答を以下に掲載する。掲載順は開発チーム名の昇順(アルファベット表記に準拠)にした。なお、時間的人員的都合により、すべての開発者に連絡がとれたわけではないことをあらかじめ断っておく。

【y0s氏(CAVYHOUSE)】

団体、及び出展作品名の紹介

Windows向けオリジナルゲームソフトを開発しています。シミュレーションゲーム、脱出アドベンチャーゲーム、落ちものパズルなどを作っています。過去の代表作は「マヨナカマヨイガ」です。

■BitSummit出展に至った理由

RTされてきたBitsummit開催案内のTweetを見て。私たち自身が京都に住んでいることもあり、折角の機会なので参加を申し込みました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

[良かったこと]
  • 様々な開発者の方のお話が伺え、勇気を得られました。
  • サカモト教授のライブは、自分たちのゲーム開発のルーツである子ども時代のゲーム体験を思い出す、感動的な経験でした。
  • Steamの方と、直接作品の提出についてのお話ができたこと。客観的な意見が伺え、参考になりました。
  • Q-gamesのスタッフ(プランナー、デザイナー、etc...)の方々にゲームをプレイしてもらい、
  • ポジティブなコメントで応援していただけて、とても嬉しかったです。

[残念だったこと]
  • 私たちのチームの提出したムービー素材がトレーラーに掲載されなかったこと。(ただし、イベント後にその事をフィードバックすると、未掲載分も含めて改めて編集したトレーラーを作成・公開して頂けました。主催者の皆様、ありがとうございます)*1

*1 BitSummitの公式Facebookアカウントでも告知されている。

Facebook - ビットサミット公式アカウント

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

まだはっきりとした希望というようなものはないのですが、
このようなイベントが、質・量ともに増えていき、
作品の発表と、多様な人との交流の機会が増えることを期待しております。

CAVYHOUSE公式サイト
http://www.cavyhouse.net/

【なる氏(えーでるわいす / Edelweiss)】

■団体、及び出展作品名の紹介

アスタブリード
花咲か妖精フリージア

■BitSummit出展に至った理由

主催者様からお誘いを頂いたのがきっかけです。
その時点では商談会の様な印象が強く、正直参加するか迷いましたが、
折角の機会なので何らかの経験の糧にでもなればと思い参加しました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

インディー、同人、フリーと多彩な立場の人がこの規模で集まったイベントは
前例が無く、新鮮な出会いがあり大変有意義でした。
ゲームを好きな人達が、好きでゲームを作っているというストレートな熱を
間近で感じられる貴重なイベントだったと思います。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

公式でも把握されている様ですが、まずはもう少し広い会場を。
それと基調講演を縮め、交流時間を延ばすバランスにして頂きたいです。
その他には、海外プレスの方々は出展者よりも身内で話しているシーンが
多かった様な印象を受けましたが、誘導が足りなかった様には感じます。
どんなゲームを作った人が会場へ来ているのか、
こちらから見てもあまりよく分からなかったくらいなので。

えーでるわいす公式サイト
http://edelweiss.skr.jp/

【Nicolai氏(エンドレスシラフ / Endless-Shirafu)】

■団体、及び出展作品名の紹介

同人ゲームの制作をメインに活動しているサークルです。 元々は大学の学内サークルから派生しております。

BitSummitには当サークルの最新作である「∀kashicverse -Malicious Wake-」を出展いたしました。

ホームページ(http://endless-shirafu.com/akashicverse/)やPV(以下、参照)を ご覧になっていただければ何となくお分かり頂けるかと思うのですが、 「一人非零和無限未確定不完全情報ゲーム」と銘打った2Dシューティングゲームっぽいなにか、といった趣のゲームになっております。

弾幕・敵幕・初見殺し・高速弾など、無慈悲かつインフレしまくった敵の攻撃を、 ダメージを防ぐ「シールド」・弾速を遅くする「抗体領域」・多種多様な効果を持つ「メソッド」等の様々な武装で圧倒していく、 かなり激しめなゲーム性が特徴です。

微に入り細を穿つようなチュートリアルやなかなか死ににくいモード等も備えていますので、 初心者の方でも多分楽しめると思います。 あと、もう少ししたらパッチを出す予定です。1月下旬あたりから出すと言い続けているので、 お待たせしてしまっているファンの方には非常に申し訳ないのですが…。 このパッチによってもっと完成度が高まる予定ですので、今しばらくお待ち頂ければと思います。

■BitSummit出展に至った理由

BitSummitのスタッフの方からメールを頂きまして、なんだか面白そうなイベントだと思ったので「じゃあ行ってみるか」と。 他の同人ゲームサークルさんも参加されるとのことでしたので、大体そこら辺で出展の決心がつきました。 海外展開を見据えた上で各メディアと交流を持つみたいな深い理由は特にないのが申し訳ないところです。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

まず、実際に会場に行ってみたらイベントの規模が大きすぎて驚きました。 イベントの外装(各所に貼られたポスター、飲食物完備、ゲスト演奏など)も非常に豪華で、 本当に無料で参加していいんですか?これ?という印象でした。

各講演も参考になるお話ばかりで、有意義な時間を過ごせました。 ただ、イベントの規模に比して会場が狭かったかなとは思いました。 コミケもビックリの人口密度で、他のブースを見て回るのは難しかった印象です。

それと、スポンサーのQ-Games様が京都の会社という関係上仕方のない点もあると思われるのですが、 やはり京都での開催は地理的に、関東の同人サークルが参加しにくいところもあるかなと感じました。 開催場所が京都なので参加を見送った、という話もチラホラ見受けられましたので、そこが勿体ないかなと。

あとは講演につきまして、「同人」よりも「インディーズ(あるいは独立系デベロッパー)」寄りの内容が多めだった印象です。 とはいえこの点につきましてはイベントの趣旨自体が「そういうもの」なので不満点では全然なく、 むしろ同人とはまた違った視点でのお話が伺えて興味深かったです。 全体としましては参加してとても満足度の高いイベントでしたので、是非今後も継続していってほしいです。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

大体上で述べた通りなのですが、個人的には講演で技術デモを行うというのはいいアイディアでしたので、 今後同様のイベントがありましたらそういった講演が増えればと思いました。 あと、今回のイベントは規模がとても大きかったため仕方のないところではありますが、 参加団体各位を全体に簡単に紹介する時間があれば多少団体間の交流がしやすかったかもしれません。

エンドレスシラフ公式サイト
http://endless-shirafu.com/

【Nanmo氏(FullPowerSideAttack.com)】

■団体、及び出展作品名の紹介

* BREAKS C83 Technical Preview
コミケット83で頒布した音楽ゲームです。
* TorqueL BitSummit Prototype
現在開発中の2Dアクションゲーム(2D Platformer)です。

■BitSummit出展に至った理由

Playismさんより参加のお誘いをいただきました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

参加することになったのがかなりギリギリでしたので、海外の方にプレイしていただいてコンセプト等が通用するかを確認することに主眼を置いて参加しました。

そういう意味ではそもそもの期待値は低めに考えていました。

(基調講演がおしたこともあり)プレイしていただく時間は短かったのですが、特にTorqueLは大変よい反応をいただきました。

BitSummitは今後も様々に形を変えて継続されて行くものと思います、開発者とメディアの良き場となることを期待しています。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

* 展示環境・プレイ環境のコーディネート

FullPowerSideAttack.com
http://fullpowersideattack.com/

【ひも / Himo氏】

■団体、及び出展作品名の紹介

個人で好きなようにゲームを作っています。
HSPプログラムコンテストやセンスオブワンダーナイトに入賞歴があります。
今回は『Second Person Shooter Zato』というゲームを出展しました。

■BitSummit出展に至った理由

ツイッターで流れているのを見て面白そうだと思い、応募しようかと思っていたところ、
Playismの方から推薦いただいて出展することになりました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

メディアの方とはあまり話せませんでしたが、
多くのインディーズ開発者の方と話せて勉強になりました。
良い刺激になりました。

あと、サカモト教授のアレンジ曲が大好きだったので、
生演奏が聞けてとても良かったです。
物販でサインしてもらいました!

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

とにかくまた開催してくれれば、それだけでもうありがたいです。
何よりも出展されるゲームが面白くないとイベントの価値がないと思うので、
次回開催されるまでに、胸を張って出展できる面白いゲームを作りたいです。

ひも公式サイト
http://himogames.com/

【楢村匠氏(NIGORO)】

■団体、及び出展作品名の紹介

LA-MULANA、Flashゲーム数点
次回作(カネマネ)の告知。

■BitSummit出展に至った理由

ある日主催者のミルキー氏から新手のキャッチのようなメールが届きました。
なんだこれはとPLAYISMとQ Gamesに確認を取り、イベントの内容を知りました。
LA-MULANAのSteam販売の為の、海外への告知・宣伝の機会が欲しかったところなので、飛びつきました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

まず、日本では一堂に会することがほとんどない、日本人主催で行っていたら絶対にまとめられないであろうチームが集められていたこと。
コンシューマーやセカンドパーティーとして既に実績のあるところ、主に同人として活動しているところ、スマートフォンを対象にしているところなど。
海外の視点から見ればこれがインディーゲームというくくりなんだと認識出来ました。
問題はこれらのチームの皆さんと交流する時間がほとんどなかったこと。
スポンサーを取った為にしかたのないことかもしれませんが、第1部のスポンサーの基調講演が長過ぎたと思います。
我々、日本人開発者には有益な情報もあったと思いますが、海外のメディアの人にはあまり関係のない話だったのでは。

基調講演もSteamのGreenliteや、「好きなものを作るのが良い」という話など、インディーゲーム制作に有益な情報と言えましたが、
それを行う為の時間や資金面の解決になるものはなく、会場にいたほとんどの開発者はそれ以前の段階で苦労しているんじゃないでしょうか。

もっとも心配していたのは、個々のチームに注目が集まるのではなく「Bit Summitというイベントがあった」という記事にまとめられてしまうのではと言う点ですが、これは後日公開された国内外のBit Summitの記事が基調講演、当日登壇をうながされた天谷氏の新作、飯野氏の追悼ビデオなどが中心の記事になり、予想通りといった感じです。
これはもっとBit Summitが有名になり、記事を割いてくれるメディアが増えてくれるように頑張るしかないかもしれません。

Bit Summitのコンセプトは我々に取って非常にありがたいもので、第1回目の内容としては問題点はありつつも充分有意義であったと思います。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

できれば海外メディア向けならそれに徹底して普段登壇しないチームに講演してもらいたいし、終了後に日本人開発者の集いなども誘導してくれるとより参加意義が高まると思います。
サイトなどでもっと事前に参加チームの一覧、チームに与えられる会場のデスクなどのスペースなどが告知されていれば良かった。

ポップなどを準備してたのは海外取材の経験が多い我々とPixelぐらいだったので、どういうスペースが与えられるか事前に分かればもっと華やかになったのでは。

NIGORO公式サイト
http://nigoro.jp/

【ヌッソ氏(Nussoft)】

■団体、及び出展作品名の紹介

個人サークルです。
海洋生物を題材とした3Dアクションゲームをつくってます
NEO AQUARIUM - 甲殻王 -
NEO AQUARIUM II ACE OF SEAFOOD

■BitSummit出展に至った理由

PLAYISM様からのお誘い

今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

開発者とメディアに参加者が限定されていたので、開発者同士で話せたり、メディアの方にプレイしてもらいながら説明できたりしたのは良かったです。即売会とかだとそういう余裕はあまり無いので。あと、海外の方の反応をweb以外でみれるのは貴重な機会でした。連絡・情報の不足や進行の不手際はありましたが、開催初回でボランティアですし、言語の問題もあるので致し方なしかなと。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

正直、海外のインディーみたいに活動するのは私のような趣味で作ってる人間には無理なんですが、(お金があれば作れるという問題でもないので)開発中のゲームをプレイしてもらえて、あわよくば記事にしてもらえる場があるとか、完成したらパブリッシュしてくれるパスが有るとかは、モチベーションになるので、あまり早急にビジネスだと急かさずに、しかし続けていって欲しいです。

基調講演でUnityの大前氏が言われたように「インディーゲーム開発者になるのに別に会社を辞めなくてもいい」スタンスで、まずは、本業以外でもゲームを作ることが一般的になって欲しいですね。

その中から当たりが出ればビジネスにもなろうと。Webはともかく、リアルでのイベントに個人の作ったゲームを出せる機会はやはり少ないです。コミケでも十分敷居は高いと思いますし(あそこに行くという時点で)、賞とかコンペ類は専門学生向けですしね。じゃあIGF目指せよってのも意識が高すぎる話なので、もう少し緩く参加できるイベントが増えたら良いなーと。

BitSummitのようなものが、新規にゲームを作ろうって方が目標にできるようなものになったら、
日本でもインディーゲームの活気というのが生まれてくるのではないでしょうか。同人だとコミケ迄にとかありますけど、そういうのが無いと本当に自分のペースで黙々とやるだけなので、ぼっち開発者のモチベーションの維持のためにもこういうイベントは増えていって欲しいところです。

Nussoft公式サイト
http://www.neoaq.net/

【東江理子氏(Nyamyam)】

■団体、及び出展作品名の紹介

Nyamyamは 元英国Rare社のスタッフ、日英独のチームで構成されています。
Tengami は 日本の伝統美である和紙を用いて構成された、繊細で美しい世界観の仕掛け絵本風アドベンチャーゲームです。
ページをめくると秘密と謎に満ちた古代日本神話の世界が広がります。

おかげさまで「センス・オブ・ワンダー ナイト 2012(SOWN 2012)」および「IndieCade 2012」 のファイナリストにノミネートされました。

スタッフ一同心を込めて製作中です。 
2013年 夏頃にiPad その後 PC Macにて発売予定です。どうぞよろしくお願いします。

■BitSummit出展に至った理由

日本のインディーズゲームを知ってもらう機会をつくろう、という主旨に賛同したためです。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

情熱と熱気 日本のゲームにたいする愛情がとても感じられ、ゲストや受付やその他のスタッフの対応が大変素晴らしかったです。

いろんな開発者の方の講演を聞け、又 各ゲストのプレゼンはためになることが多く勉強になりました。

日本人の開発者同士が知り合える時間があれば とても良いと思います。

次からは是非 会場を大きくして今回以上に盛り上がることを期待しています。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

以上の質問の答とかぶさってしまうのですが、日本にあるインディーズの開発者同士、東京だけの開催ではなく地方でも交流できる場があるといいのではないかと思います。

Nyamyam公式サイト
http://nyamyam.com/

【しぎ氏(PDW:HOTAPEN)】

■団体、及び出展作品名の紹介

ヤタガラスというオリジナルの2D対戦格闘ゲームを製作しています。

■BitSummit出展に至った理由

主催の方から招待のメールが来ました

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)
■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと
  • よかった事
    運営が素晴らしく、設備や来場者が大変豪華だった。他に類のない系統のイベントであり希少性が高い。メディアや企業と個人が、しかも国内外問わずと会話できるという点が最も素晴らしかった。おかげさまで、様々な有意義なお話しが出来ました。
  • 進行方法など
    自席が割り当てられていてそこに座って講演を聞いていく進行形式だったので、せっかく沢山の人がいるのに自由に話したりする時間が短くてもったいなかった。会場は結構広かったですが、来場者数が非常に多かったのでもう少し広ければ。ただ、これぐらいの広さの方が、一体感あって怪しい会話が捗るような気も。初めてのイベントですし、是非次回も開催して頂き、よりよくなることを期待します。
  • インディーゲームについて
    非常に細かいことですが。BitSummitはインディーゲームという分類でのイベントでしたが、
    この区分方法は日本の実情を表すには最適とは言えない感じがします。(それが悪いと言ってるのではありません。念のため)日本での区分イメージとしては、プロ(生業としてお金稼ぐ)に対して、アマか同ソという分類がより一般的と思います。この辺のアマや同ソもひっくるめた(BitSummitは、日本の独立系のゲームを海外で商業的に成功させることを想定したイベントと思いますが、多分に紹介的な側面もあったと思います)
  • 開催意図を明確に告知
    上記のこととも絡むのですが、イベントの開催趣旨や意図といったものをもっと強くアピールした方が相互にとってなにかと良かったと思います。

PDW:HOTAPEN公式サイト
http://yatagarasuinfo.web.fc2.com/

【しごと氏(プチデポット / Petit Depotto)】

■団体、及び出展作品名の紹介

「メゾン・ド・魔王」というゲームを出展しました。
Xbox360 版、および PC 版が頒布中です。

■BitSummit出展に至った理由

PC 版の販売をお願いしている Playism 様からお誘いいただいたので、気軽なノリで行ってきました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

海外進出するぜ! てな気概溢れる方には、そこら中にチャンスが転がっている、良いイベントだと思います。
ただ我々は引っ込み思案かつ体力が無いので、ちょっと辛かったです。

悪かった点としては、とにかく講演が長かった事でしょうか。
持病の痔が悪化しました。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

自分としては、別にゲーム業界に入りたいわけでも何でもなく、ゲームを作りたいだけなので、「作る上でプラスになる事」がもっとあれば良いのになあ、と思いました。
そういった主旨のイベントでは無かったのは分かっているんですが、うーん。そもそも、なぜに少人数でゲームを作っているのか、という話です。

プチデポット公式サイト
http://globule.sblo.jp/

【小野口正浩氏(株式会社クアッドアロー / Quad Arrow)】

■団体、及び出展作品名の紹介

『Project EF-12』。3Dの格闘ゲーム兼作成ツール。eスポーツ専用コンテンツを目指して開発し、誰でも内容を改変できるようになっています。

■BitSummit出展に至った理由

FaceBookで見かけて申し込み。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

Bitsummitは大変に不思議なイベントであった。

ダメだった、のではない。海外からあれだけのメディアが押し掛け、たくさんの著名人の基調講演を聞けて、しかも出展費用は無料。ゲームメジャーでも同人でもない立ち位置の我々にとっては「日本のインディーズはこんなに頑張ってるんだぜ」というPRの絶好の機会であった。

はずだった。

この原稿を書いている時点(3/14)で自分が見る限り、出展作品を丁寧にとりあげて紹介しているゲームポータルは一つもない。ほとんどのサイト記事は「BitsummitというのがKYOTOで開催されたよ」「ValveやUnityの基調講演があったよ」という2点で構成されていた。

多くの出展者側にはストレスのたまるイベントであったはずだが、ネットでそれを声高に言うものはいない。ただし「本音では…」という耳を澄まさないと聞こえないレベルの意見はごくわずか散見される。

なぜ言わないか。それはそうだ、無料でスペースを出してもらって、海外メディアを呼んでくれて、タイトルによってはsteamへのコネクションができたのだから。これで文句をいったらバチがあたる。

あえて言おう。海外には「バチ」なんて英単語はない。だから海外では言いたい事を言うんだぜ。
主催者には大変に感謝する。でも言うべきだと思う。なぜなら[BitSummit 2nd]にみな期待しているはずだから。2回目は1回目より良くなっていてほしいから。押し黙る美徳が同時に弱点でもある日本人を代表して、以下自分の個人的な意見を述べさせていただきたい。代表意見になってなかったらご免ね。個人的意見ということにして。

[主催者はメディアに対してイベントの主旨を伝えたのか]
前述のとおり海外メディアの記事は押しなべてイベントの目的から外れる(と自分は感じる)ものだった。valveの基調講演をあえてこの記事でとりあげる必要はあるのだろうか。steam Greenlightはすでに周知のものであり、今回ならずとも取り上げる機会が多くあり、実際すでに多くある。あの講演は「君たちもsteamで海外に出さないか」という訴えかけであり、決して今更海外メディアに自己紹介するものではなかったはずだ。

「出展しているタイトルの紹介を海外にしてほしい」という事をちゃんと伝えるべきではなかったかと思うのだが、ここには自分の視点からは見えていない、重要な問題の存在可能性がある。

<伝えたけど実は日本のインディーズ個別には別に興味がなかった、という可能性>
twitterでは「steamに出してるけど、正直あいつらFPS以外興味ないからそのつもりでいて」という意見もあった*2。実際にsteamに出している人の意見であるからこれには重みがある。

さらにもう一つ自分が感じたのは『メディアはあまり熱心に個別タイトルの取材をしていない」という事だ。基調講演が押してはいたものの、会場は1時間余計に開いていた。しかしその時間を利用して取材をしようとしているメディアはほとんどいなかった。

自分の所にきたメディアの質問も「valveの基調講演を聞いてどう思ったか」というものがあった。valve様>>>>木っ端クリエイターという感じだ。質問すべきことはそこなのか?

かようなわけで、残念ながら肯定する材料はあっても否定する材料がない。まあ「興味がないから持て!」という会であるとするなら現時点では致し方ないのかもしれないが。

AAAのみならずインディーズもナメられてる(というか認識すらされていない)のであれば、日本vs海外という構図で俯瞰するならばゆゆしき事態ではある。

*2 以下のツイートを指していると思われる
■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

[ならば我々とBitsummitはどうアクションしていくべきか]
とりあえずBitsummitはとがったコンセプトをもつ大変よいイベントであり、ここは海外向けのインディーズポータル的役割を今後も担ってほしい。そのために今後改善すべきと思う点は以下

  • メディアに対し主旨をちゃんと伝える
     →2回目以降はさすがにBitsummit自体の新規性を記事にはしないと思うが、やはり「言う」のは必要
  • 基調講演はほどほどに
     →ボトムアップの時代にこの構成は逆行しているとしか言いようがない。そもそもこういうのはGDCとかCEDECの役割ではないかと思う。
  • タイムキーパーをつける
     →基調講演があるならね。予定を2時間押しても誰も止めないから取材の時間がなくなって悪循環である。
  • 場所の問題
     →狭いというのは一同同意な問題だった。ただコミケでも同じくらい混んでいるので「狭いからメディアが入れない」ということではないのだが、奥まで入るのが面倒になるのは確か。ただ広い場所を確保するにはお金がかかるので、そこについては現時点でノーアイデア。有料ブースとか作るとインディーズらしくなくなるし。
  • UStreamでのライブ中継とアーカイブ
     →個別タイトル紹介をメインにしたUStream中継し、かつその放送をあとでいつでも見られるようにすればPRのチャンスが広がる。
  • BitSummitコミュニティの形成
     →参加者同士なんとなくtwitterでフォローしたりはしてるんだけど、基本的に個人個人まかせなので、ここはソーシャルグラフを形成することで後々日本インディーズの総本山になるのではないだろうか。
--------------

個人的に一番重要なのは実は最後のBitSummitコミュニティの形成ではないかと思っている。日本のインディーズって現状はまさに「クラウド」で、どこに行けばいいのかすらわからない。当然海外メディアもそう。

いまこのコミュニティに一番近い位置にいるのがPlayismなので、PlayismはBitSummitと連携して開発者のソーシャル機能を拡充していってほしいと願う次第である。

『EF-12』公式サイト
http://ef-12.com/


※上記回答は、以下のフォーラムでも閲覧できる。

ミルキーありがとう 愛してる。だから言うよ / Thanks Mielke I love you. So I say
https://groups.google.com/forum/?fromgroups=&hl=ja#!topic/bitsummitfuture/LyTxnxWfb_k

【Yoko氏(RebRank / リブランク)】

■団体、及び出展作品名の紹介

ゲーム、ソフトウェアの製作・頒布、企画・創作活動などを主目的とする同人ソフト制作サークルです。
製作物の頒布は、webサイト、主にコミックマーケット等で行っています。
メインスタッフは現在7人で、全員社会人です。

■BitSummit出展に至った理由

今回のイベントについてはQ-GAMESさん経由でお誘いを頂きました。
Q-GAMESさんは、2009年10月に開催された「秋葉原ロケテゲームショウ」に参加されており、
私たちはその隣のブースで製作中のシューティングゲームを出展していました。
その時のことが強く記憶に残っており、頂いた内容を興味津々に確認していました。

当初はどんなイベントなのかいまいち目的が見えず、参加するか迷っていたのですが、改めてイベント趣旨・目的を伺ったところ「展示スペースを設ける事で、日本国内の製作元を国外メディアさんに紹介・アピールすることが主目的」とのことで従来の同人ゲームイベントや講習・交流会等とは一線を画したものと感じました。

あくまで私達の経験としてですが、ローカライズを含む案件は様々なプラットフォームに対して、
どこからどうやって取り組んでいくべきか?という問題もあり、道筋が見え難いと考えています。
特に私達のようなスタンスで製作している場合は、正直なところ、積極的に海外に出すというメリット自体感じ難いです。
(私達の場合は、今のところローカライズ等に踏み出せてはいません)

他のサークルさんにおいても、ローカライズといった案件は必ずしも完遂するわけではなく、
実際に進めてみたら配信に辿り着かなかった、頓挫してしまったといったケースもおそらくあるのではないかと思います。

その半面、私達の制作したゲームを遊んで下さる方が日本以外に居ることも知っています。
そのような方々に対して、どのようにゲームを発信していけばよいのか?どのようにゲームを届けていったらよいのか?

そんなジレンマに近い思いもあり、今回のイベントを通じて何かしらのヒントを得られればと考えまして、出展に至りました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

ここ数年「日本のインディーズは盛り上がっている」というような言葉を耳にします。
しかし私達からは縁遠い話で実感がありませんでした。なので今回のイベントについても
私達のような同人ゲーム開発者が参加してよかったのかな?とも思っていました。

今回のイベントを通じて、それが半分杞憂であるとも知りましたが、
同時に、日本国内には色々な立ち位置の作者さんが居て、必ずしも一括りで扱うことが良いことでないことを継続的に言っていかないとならないとまずいな、とも感じました。

私達もすべてを知っているわけではありませんが、日本国内には色々な形でゲーム作品を公開している方が居ます。
今回のイベントに取材にこられていたメディアさんはこれらをどの程度知っていて、その発信を受け取ったのか?気になった次第です。

例えば・・・・・・
「海外メディアさんは、今回のイベントに参加されていた日本の開発者さんたちをどう見ていたのか?」
「インディーズゲーム製作者という一つの括りで、同じ開発者として見てはいないか?」
「日本メディアさんは、今回出展されていた中のどういったゲームを取り上げたのか?Bitsummitの趣旨をどう感じたのか?」
「既に注目されていた開発元以外に、今回のイベントで注目を集めていた開発元や小規模なサークル等はどの位あったのか?」
などなど。

細かな要素で見れば良かった点悪かった点等は色々あるとは思いますが、総じて見れば、今回のイベントの主眼とされていた日本のゲームのアピールという趣旨に対しては、良かった点の方が上回ったイベントだと感じています。

事実、私達も参加してよかったと思っていて、SWERY氏の講演で「作りたいゲームを作って、それを手にとってくれる方をを探す」という趣旨の講演を聞いた時にはローカライズの意義といいますか、何かヒントを得られた気がしました。

また、そういった現実の姿や事実をきちんと伝えていくには、今回のようなイベントを続けることで
着実に歩みを積み重ねていくことが重要なのかな、という認識を持つことが出来ました。


そのほか、気になった点としては

  • Unreal Engineといった大規模向けエンジン等の講演も普段聞けない話ではあるので楽しかったのですが、小規模開発向けといった視点では、今回の趣旨には向かなかったのかなとは感じました。
  • 開発者側が講演を持つと言った機会があってもよかったのかなとは思います。
  • 今回のBitSummitを終えて改めて考えてみると、開発者側には、日本の大学生や専門学校生といった方をあまり見かけなかったように思います。イベントの趣旨からすれば、もう少し参加する年齢層を広げても良かったのでは?と思いました。(これは個人的な印象ですが、全日本学生ゲーム開発者連合さんの勉強会等では大学生の方が多く、ゲーム業界勉強会等に行くと専門学校生さんが多いといったイメージを持っています。)


悪かった点としては、
「講演を聞いて初めてイベントの目的が完全に明確になった」ことでしょうか。
「出展に至った理由」でも申し上げましたが、当初はどんなイベントなのかいまいち目的が見えませんでした。
公式サイトやfacebook以外にも、メディアを通じて早い段階で、分かり易い情報を出すべきだったのではないかと思います。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

今後のBitSummitに望むこととして、会場にほしかったものをいくつか挙げておきます。

  • 無線LANスポット・・・携帯の回線も入らず、Twitterの投稿に苦戦しました。
  • ストリーミング配信・・・今回のイベントの趣旨からすれば、ストリーミング配信があってもよかったのではないかと思います。
  • もう少しだけ広い通路・・・会場のキャパシティを越えていました。もう少しだけ通路が広ければよかったですね。
  • 交流の時間・・・あっという間にイベント終了時間になってしまいました。それだけ充実していたと言うことですかね。

RebRank公式サイト

【北山功氏(神奈川電子技術研究所 / Shindenken)】

■団体、及び出展作品名の紹介

「僕は森世界の神になるの亜種」「クオリア3」「神奈川電子技術研究所ゾンビ連続殺人事件」「ばいおるる弐」の4作品を展示

■BitSummit出展に至った理由

いつもお世話になっているPLAYISMさんから出展のお誘いを受けため。
あこがれのQ-GAMESさんが主催であるため。
STEAMさんが来ると聞いたので一度お会いしたかった。
私は埼玉在住であるが、実家が大阪なので来やすかった。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

よかったこと

そもそもインデーゲームのイベント自体あまりないので、このイベントの存在自体とてもよい。
あこがれのゲームクリエーターの方が沢山来ていてお話もできてとてもよかった。
業界では有名な会社がスポンサーになっており、イベントの社会的地位がとても高く感じられた。
コミケ直前とかではなかったので行きやすかった。(コミケの時期とかぶると参加できない団体が多くいそうです)

悪かったこと
行ってみるまでイベントでなにをするのぜんぜんかわからなかった。
ゲームを展示する側はとても多かったが、観る側(メディアなど)がとても少なく、自分のゲームが世間アピールできなかった。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

コミケで忙しい時期は避けて欲しい。
メディアやゲームを取り扱ってくれる業者を沢山よんで欲しい。
学生や子供にも来て欲しい。

神奈川電子技術研究所公式サイト
http://www.shindenken.org/top.html

【天谷大輔氏(開発室Pixel / Studio Pixel)】

■団体、及び出展作品名の紹介

Pixelが一人で作ってます。
BitSummit では "Gero Blaster" を出展しました。
日本では "Kero Blaster" でリリースする予定です。

■BitSummit出展に至った理由

iPhoneで作成中の "Gero Blaster" が完成の目途が立ったころに
ミルキーさんからメールをいただきました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

良かったところ:海外のメディアに自分の作品を告知できたこと。とても盛り上がっていた。
悪かったところ:場所が狭かった。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

もう少し広い場所と、各出展の展示観覧時間を長くしてほしい。

開発室Pixel公式サイト
http://hp.vector.co.jp/authors/VA022293/

【飯田和敏氏/黒川文雄氏(チームグランドスラム / Team Grand Slam:黒川文雄、飯田和敏、中村隆之、納口龍司)】

■団体、及び出展作品名の紹介

作品名「モンケン」。
自分たちの創りたいものを自分たちの意思で進めるプロジェクトです。(黒川)
ゲーム開発の初心に戻り、楽しみを追求するプロジェクトです。(飯田)

■BitSummit出展に至った理由

「モンケン」の反応を知るためです。
多くの人に触ってもらうこと遊んでもらうこと。ゲームのアドバイスをもらうこと。(黒川)
まだ開発途中のバージョンでしたが、とてもいいヒントを得る事が出来ました。(飯田)

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

参加はできませんでしたが、記事などで熱気が伝わりました。出展したことで海外のひとにも知ってもらえたことがよかった。(黒川)
熱意あるゲーム開発者たちと交流することが出来てともてよかったです。
スピーカーの講演も鋭い内容でとても刺激を受けました。完璧なイベントでした!(飯田)

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

来年は参加したい。(黒川)
関係者のみなさん、おつかれさまでした!また会おうぜー!(飯田)

『モンケン』公式サイト
http://monken.jp/

【つむがり氏(ZENITH BLUE / ゼニスブルー)】

■団体、及び出展作品名の紹介

ZENITH BLUEは現在二名で活動しているゲーム制作サークルです。

現在「巫剣神威控(みつるぎかむいひかえ)」というオリジナル3Dアクションゲームを制作しています。「女子高生」と「刀」という、テッパンとも言える組み合わせでお送りするハイスピードバトルアクションを目指しています。今回BitSummitに出展した作品は、このタイトルの体験版となっており、現在完成に向けて鋭意制作中です。

■BitSummit出展に至った理由

運営の方から、ご招待いただき我々の方も興味があり、出展することを決めました。

■今回のBitSummitの感想(よかったこと悪かったこと含めて)

開発者間、メディア間で交流を持てたことが、大変良かったです。
インディーズゲーム関係者の熱意を感じれたのも良かったです。

悪かったところについては、
小さなトラブル等ありましたが、ボランティアの中でやっておられたので、
我々としては、大変満足いく内容でした。

■今後のBitSummit、または同様のイベントに望むこと

このような、熱意あるイベントには、積極的に参加したいと考えており、
このようなイベントが増えればいいなと考えております。

ZENITH BLUE公式サイト

本企画に寄せて

取材協力という形でこの記事に携わった死に舞氏のコメントで、本稿を締めくくりたいと思う。
本企画はHayanieMozu氏と私、死に舞が自主的に行い、BitSummitの参加者のご協力によって実現しました。アンケートの回答はBitSummitの良い点悪い点どちらにせよ、多岐に渡るものです。

そもそも「日本のインディーゲーム」という漠たる存在をテーマにしたイベントであるため、参加者も様々な出自を持っています。同人ゲームのサークル、フリーゲームのクリエイター、受託開発に携わっている開発者、コンソールゲームを制作しているスタジオ、様々な方々から様々な意見があります。

アンケートの回答に関しては、我々から特にコメントを与えず、読み手側の自由に委ねたいと思っています。ともあれ参加者の方々がゲーム制作に愛情を注ぎ、今後も自由なゲーム制作を続けていきたいと考えていることは伝わったと思います。我々は1人のユーザー、1人のゲーマーとして、そのようなクリエイターの生の声を知りたい、そして伝えたいという思いのもとに行動しています。

そして、クリエイターの自主性、独立性を尊重していくことによってこそ、「日本のインディーゲーム」というカルチャーやシーンが形成されていくのではないかと思います。「日本のインディーゲーム」は未だ存在していないかもしれません。しかし、もしそうだとしても「日本のインディーゲーム」を我々はこれから作っていくことができるのだと思います。そして、そのためにできること、やらなければいけないことはたくさんあります。それはクリエイターの努力やSteamやPlayismといったディストリビュータの力だけではありません。この記事を読んでいる方にも、きっとできることがあると思います。

結局のところ「インディーゲーム」という名称や概念にこだわる必要性もないかもしれません。我々が求めていることは、もっと自由で多様なゲーム文化が育つこと、それに尽きます。しかし、その多様性の確保のために「インディーゲーム」と呼ばれる文化が果たせる役割はきっとあるのだろうと考えています。

なお私、死に舞のインディーゲームについての個人的な考え方はこちらで書きました。

革新性と多様性:BitSummitを振り返りつつ思うインディーゲームのあり方
http://blog-ja.activegamingmedia.com/2013/03/bitsummit.html

HOTLINE TOKYO跡地

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※画像は映画『DRIVE』のポスター
HOTLINE TOKYOについてさっくりまとめておきます。HOTLINE TOKYOの概要については、当ブログ過去のエントリーをご覧ください。

関連記事:
『Hotline Miami』について語り合うイベントHOTLINE TOKYOが開催
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/03/hotline-miamihotline-tokyo.html

座談会の模様

座談会の配信はUstreamで行われましたが、その模様がYouTubeにアップされています。

※本イベントはネタバレなど気にせず行われているので、個人的には『HOTLINE MIAMI』のプレイ後の閲覧を推奨します。

座談会で登場した作品たち

記憶している範囲ですが、いくつか言及されたタイトルがあったのでリンクを貼っておきます。

ゲーム

『みんなのリズム天国』公式サイト
http://www.nintendo.co.jp/wii/somj/
※記事執筆時の最新作

寄生ジョーカー - ニコニコ大百科 
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%AF%84%E7%94%9F%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC
※公式サイトが存在しない。ゲーム自体がすでに公開停止となっている

『Criomsonland』公式サイト
http://www.crimsonland.com/


『Grand Theft Auto』公式サイト
http://www.rockstargames.com/grandtheftauto/
 
※開発中の最新作『Grand Thef Auto V』のトレーラー

『Super Meat Boy』公式サイト
http://supermeatboy.com/

『To the Moon』公式サイト
http://freebirdgames.com/to_the_moon/

映画

『スカーフェイス』

『Drive』日本語公式サイト
http://drive-movie.jp/

『THE DRIVER』

PLAYISMでGDCに合わせた日本インディーゲームセールが開催

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PLAYISMは、Game Developers Conference(以下、GDCと表記)で『LA-MULANA』の開発NIGOROの楢村氏が講演を行うことを記念して、GDC期間に合わせた日本インディーゲームセールを開催する。

PLAYISM 日本インディーズゲームセール概要

セールになるのは全8タイトル。ただし、日替わりでセール対象が変わるため、お目当てのタイトルがある人はセール対象日を漏らさずチェックしたほうがよいだろう。セール情報は以下のとおり。開発の公式サイトへのリンクも貼っておく。

2013年3月25日16時~同26日16時

『まんけん!』 開発:773
390円(通常1300円の70%OFF)
http://www.playism.jp/games/manken/
773公式サイト
http://atelier773.dojin.com/
4部作だった『DEAD END JUNCTION』を完結させた773。現在は新作に向けてスタッフを募集するといった動きを見せている(募集自体は終わったような気がする)。なお、次回作についてはクラウドファンディングの利用を考えていると、ひづめ氏がTwitter上で明かしている。

『僕は森世界の神になる』 開発:神奈川電子技術研究所
490円(通常980円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/bokuhashinsekainokamininaru/

神奈川電子技術研究所公式サイト
http://www.shindenken.org/
結成10年を迎えたという神奈川電子技術研究所。最新作は今回のセール対象『僕は森世界の神になる』の続編にあたる『僕は森世界の神になる の亜種』。『僕は森世界の神になる』は先日、PS Mobileでもリリースされた。

2013年3月26日16時~同27日16時


『SATAZIUS』 開発:ASTRO PORT
315円(通常1575円の80%OFF)

http://www.playism.jp/games/satazius/

ASTRO PORT公式サイト
http://www.interq.or.jp/saturn/takuhama/dhc.html
最新作は『超戦車戦アドベンティア』。多数の作品を手がけた同サークルが2009年にリリースした『蒸気活劇アドベンタム』の続編らしい。

2013年3月27日16時~同28日16時

『天才科学者ばいおるる』 開発:神奈川電子技術研究所
788円(通常1575円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/bioruru/

神奈川電子技術研究所公式サイト
http://www.shindenken.org/
先ほども登場した神奈川電子技術研究所。同開発の『神奈川電子技術研究所シリーズ ゾンビ連続殺人事件』はPLAYISMより英語版のリリースが決まっていたはずだが、今のところ詳細な情報は耳にしていない。ちなみに『ばいおるる弐』というゲームもある(こちらはPLAYISMでは未リリース)。


『ヤタガラス4.3』 開発:PDW:HOTAPEN
490円(通常980円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/yatagarasu/

PDW:HOTAPEN公式サイト
http://yatagarasuinfo.web.fc2.com/
『ヤタガラス』はニンテンドー3DSへの移植が、Nicalisより2012年に発表されており(その後、続報を聞いていないが)、今後の動向に注したい。

2013年3月28日16時~同29日16時

『LA-MULANA』 開発:NIGORO
600円(通常1200円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/lamulana/

NIGORO公式サイト
http://nigoro.jp/
Greenlitに、GDCでの講演と破竹の勢いのNIGORO。先日、『LA-MULANA』のSteamでのリリース日も決定した。なお、PLAYISMでの購入者には同作のSteamキーが配布予定となっている(既に購入した人も同様)。GDCでの講演では、プレイヤーによる実況動画からいくつかのシーンを切り取って使用するらしい(あくまで「らしい」です)。


『NEO AQUARIUM -甲殻王-』 開発:Nussoft
400円(通常800円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/neoaquarium/

Nussoft公式サイト
http://www.neoaq.net/
魚介類たちが海底で火花(?)を散らすという独特の作風が話題になった『NEO AQUARIUM -甲殻王-』。現在は続編『NEO AQUARIUM II: ACE OF SEAFOOD』を開発中だ。Windows版のほか、Androidでもリリース予定があるそうだ。

2013年3月29日16時~同30日16時

『メゾン・ド・魔王』 開発:プチデポット
180円(通常360円の50%OFF)
http://www.playism.jp/games/maisondemaou/

プチデポット公式サイト
http://globule.sblo.jp/
PLAYISMでの売り上げトップであった『LA-MULANA』を引きずり下ろした『メゾン・ド・魔王』(以下のツイート参照)。英語版は未リリースながら、YouTubeでは海外のプレイヤーによる実況動画もあったりする(出自がXbox LIVE Indie Gamesというのもあるだろう)。今のところ、次なる動きは聞いていない。
一緒に添えた開発の動向を紹介したテキストにムラがあるのはご容赦願いたい。なお、以下のタイトルについては今回のセール後も、値引き率は下がるながらも1ヶ月間は以下のセール価格で販売するようだ。

『まんけん!』 780円(通常1300円の40%OFF)
『SATAZIUS』 630円(通常1575円の60%OFF)

『Super Chain Crusher Horizon』のセールも継続中である。こちらの詳細は、以前のニュース記事を参照してほしい。

関連記事:
『Super Chain Crusher Horizon』のスコアコンペが開催中
今回のセールは上のようなことを言っておきながら、実はまだ買っていないような買う買う詐欺をしている人は要チェックだ!

……おや!? NYDGamerのようすが……!

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日曜大工ゲーマーこと、NYDGamerですが、以下のような問い合わせをお寄せいただいているため、ブログ名を変更することとなりました。
  • 日曜大工の情報扱ってると思ったらなかった……
  • MYDなのかNIDなのかはっきりしてほしい!(両方とも間違いです)

新しいブログ名は次のとおりです。

Dog, Viper, Madman(通称、DVM)

ブログ名はイギリスの有名なゲームメディアのパクリで情報に忠実な「Dog」、毒を吐くことも厭わない「Viper」、周りの(泥)を巻き込んで巨大化していく「Madman」という意味を持たせています。
バナーも準備しました
イギリスの有名なゲームメディア Rock, Paper, Shotgun
http://www.rockpapershotgun.com/

NYDGamerでは寄稿者を常に募集していましたが、Dog, Viper, Madmanの開設にあたり、新たに本ブログの執筆者を2名募集いたします。鳥にあたるコードネームがなく、あったとしても紛らわしいので私は「Madman」のコードネームを使っていく所存です(Hayanie 'Madman' Mozu)。新たに参加される執筆者は「Dog」、または「Viper」のコードネームを使っていただくことになります。お気軽にご連絡くださいませ。

とか思ったのですが、本当になってもあまり困らない程度にエイプリルフールでした。なお、執筆者は本当に募集しているので、なんか書きたいけど公開する場所がなくて寄稿してもいいよ、という変わり者の方がいたらお声かけください。

来年は「『Dear Esther』の音声吹き替え版がPLAYMOZUMからリリース(音声はちょっと準備してみたけど、動画撮ったことないから諦めた)」とか「ゲーマー向け日曜大工コーナー」とかやりたいですね。たぶんやらないけど。

2013年度もNYDGamerやDog, Viper, Madmanをよろしくお願いいたします。

レビュー『∀kashicverse -Malicious Wake-』

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死に舞氏によるレビュー。

死に舞氏のTwitterアカウント
https://twitter.com/shinimai
死に舞 - はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/shinimai/

ゼロ年代以降の日本の同人STGは、インディーゲームにおけるもっとも熱いシーンだったのではないだろうか? もちろん、規模の点ではデベロッパーもプレイヤーもかなり小さい。だけど、そこに関わった人たちの思いの強さは、『Indie Game: The Movie』が持つエモーションに引けをとらないように思える。

「思いの強さ」という漠然としたものを比較することは馬鹿らしいかもしれない。だったら正直に認めよう。私は昨今の海外インディーゲームと同じくらい、いや、それに負けず劣らず日本の同人STGシーンに熱狂していた。

『∀kashicverse -Malicious Wake-(以下、∀kashicverse)』は、まさに私が熱狂していた同人STGシーンにおける1つのマイルストーンだ。それは1つの道標として過去を継承している。また同時に未来を作っていくだろう。

■ジャンル 2Dシューティング(Shoot 'Em Up)
■開発 エンドレスシラフ
■プラットフォーム Win
■リリース日 2012年12月31日
■価格 1000円(イベント価格) 1575円(ななぽストア)
■入手経路 即売会 ななぽストア
■公式サイト http://endless-shirafu.com/akashicverse/
■プレイバージョン v1.00(記事執筆段階での最新パッチはv1.01)
■プレイ時間 15時間程度(∀DVENTのノーコンティニュークリアまで)

ゼロ年代以降の同人STGの盛り上がり

現在まで続く同人STGの潮流を正確に記述することは困難であり、今回のレビューの役目ではない。(いずれは私自身の視点から眺めた同人STGの簡単な歴史的概略や関係者のインタビューを交えたルポルタージュを執筆したいと思っている)。

フリーゲームや同人ゲームにおける「シューティング(英語で言うところshoot'em up)」の歴史は思った以上に古く、現在でもプレイされているものとしては、よっしん氏の『超連射68k』(1995年)などが知られている。だが、2002年にリリースされた犬丼帝国(現RUMINANT'S WHIMPER)の『らじおぞんで』や上海アリス幻樂団の『東方紅魔郷』などが現在のシーンの直接の源流となっていえるだろう。

犬丼帝国のひらにょん氏と上海アリス幻樂団のZUN氏の2人はかなり作風が異なる。だが両者とも、プログラミングからグラフィック、そして音楽まで1人で制作するマルチクリエーターであり、結果としてこれまでのゲーム以上に「作家性」が感じられる作品をリリースしてきた。そして、彼らが生み出した傑作が、ゼロ年代の同人STGシーンに火を付けたと言えるだろう。

ZUN氏は東方Projectの名の下に、一連のSTGと著作を積極的に発表してきた。それはその後の同人文化に多大な影響を与えたことはよく知られている。それに比べると、ひらにょん氏の『らじおぞんで』と『Hellsinker.』(2007年)が与えた影響の範囲はかなり小規模だろう。だが、それは強烈なボディブローであり、同人STGシーンにおいては未だに多大な影響力を持っている。その他にもSITER SKAINやPlatineDispositif、RebRank、橙汁、天然素材、四ツ羽根、クロスイーグレットなど、ベテランから新人問わず多くの同人サークルがSTGを発表しており、その勢いは未だに衰えてはいない。

同人STGにおける話題の最新作

そしてエンドレスシラフの『∀kashicverse』。

2012年のコミックマーケット83で発表された本作は、同人STGシーンにおいて注目を集めていた最新作だ。エンドレスシラフは本作以前には、『Alone』(2010年)など主にビジュアルノベルをリリースしてきたサークル。以前にもSTGも制作していたようだが、同人STGの中では若手サークルに位置づけられるだろう。

「一人非零和無限未確定不完全情報ゲーム」と仰々しく銘打たれた本作。その名前に劣らず、本作はゼロ年代以降の同人STGシーンが開拓してきた肥沃な大地で純粋培養されたハードコアかつエクストリームなSTGだ。尖りに尖ったそのセンスは、シーンを知らないプレイヤーからするとほとんど理解不能なまでに先鋭化している。PVはその雰囲気をある程度伝えてくれる。だが、一般のゲーマーからしてもその内容は理解し難いだろう。
私自身も「∀DVENT」という簡単なモードをノーコンティニューでクリアしているものの、完全に理解したとは言いがたい。ステージ序盤から異常なテンションの音楽と「殺す気が満々」の敵弾に圧倒される。本作の音と映像の情報量は端的に言って過剰、まさに電子ドラッグと呼ぶに値する。
だが、敷居の高さを見せる反面、実は本作には非常に丁寧なチュートリアルが付いている。そして「∀DVENT」に関しては難易度的にもかなり簡単な部類だ。PVを見てプレイする気になった人は、以下の文章なんて読まずに、今すぐ体験版をプレイしてほしい(ただし、悪いことは言わないからチュートリアルを先にしたほうが良いと助言しておこう)。とはいっても、大量な弾幕や敵弾、過剰な情報量のUI、ぶっ飛んだ操作系などやはり複雑であり、取っ付き難いことは確かである。

体験版のダウンロード - 『∀kashicverse』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/#content_download


そもそも何を考えてこんな複雑なシステムのSTGを作っているのか? STGとはビデオゲームにおいては、もっとも歴史が深く、かつシンプルなものではないか? さらに言えば、それは時代から見放され、進化の袋小路に入った「死んだジャンル」なのではないか? 昨今の同人STGシーンに馴染みのない人ならば、以上のような疑問を抱いてもおかしくはない。

だが結論から先に言えば、STGは決して「死んだジャンル」ではない。もっと言えば、STGを作ってきた同人サークルの多くは、単なる技術的な制約や懐古趣味を理由にして、このジャンルを制作してきたわけではない。コンソールやアーケードでのSTGのリリースが減ってきた現在もそれは確実に進化してきたのである。そして、その進化がもっとも先鋭的であったのが同人STGだったのだ。

そこで本レビューの責務は、同人STGの進化の極みとしての『∀kashicverse』の魅力を、そのシーンの動向を知らない人にも説明することだ。そこでは本作に影響を与えたであろう同人STGに触れながら、主にゲームシステムの観点から考察したいと思う。実際にはそのデザイン、UI、音楽、世界観など語るべきポイントは数多くある。しかし、読者のモチベーションの制約上、それらは別の機会にする。さらに言えば、『∀kashicverse』に対する影響の有る無しは私が作品から感じ取った推測でしかない。エンドレスシラフがどういう構想で本作を制作したかについてはいずれインタビューなどを行いたいと考えている。

同人STGの2つの進化の行方:攻撃手段とリソース管理の多様化

2DSTGのサブジャンルとして考えれば、『∀kashicverse』はどういったゲームなのだろうか? 縦スクロールであることは間違いないが、いわゆる弾幕系ではない。確かに弾幕と呼ぶべき大量の敵弾が出現するのだが、それらの多くは避けるためにあるのではない! そもそも見てからでは回避不能なスピードの敵弾も多く、「いかに避けるか」というよりも強力な自機によって「いかに(敵弾も含めて)敵を抹殺するか」に主軸が置かれている。

CAVEや東方Projectに代表されるような「弾幕系」というジャンルは、言わば「左手のゲーム」である。要するに多くの敵弾をさばくための左手の操作に重みがあり、往々にして右手はショットボタンを押しっぱなしだ。せいぜい緊急回避のためのボムを撃つタイミングが問われるだけだ。

それに対して既存の弾幕系STGから差別化をはかるため、同人STGの中には大きく右手に重心を移してきた作品がある。代表的な事例としては、『Hellsinker.』が存在する。『Hellsinker.』では1キャラクターごとに3つのボタンを組み合わせた攻撃・防御手段が多様にあり、これまた速くて多い敵弾を強力な自機でねじ伏せていくのだ。結果として、弾幕シューティングが持っている受動的な側面を廃し、多彩な攻撃手段による積極的なプレイスタイルが要求されるのだ。

この多彩な攻撃手段という点以外でも、『∀kashicverse』が同人STGの潮流において向かった方向性がある。それは端的に言えばSTGのリソース管理システムだ。敵弾を避けることを強調する弾幕シューティングでは、基本的に残機とボムというリソースを管理することで攻略が達成される。そこでの発想はシンプルであり、ラスボスを撃破するまで残機とボムをいかにキープし続けるかがポイントなのである。

だが同人STGには、この「残機+ボム」というシンプルなリソース管理システムに「否!」と申し立ててきた作品がある。代表的な事例としてはRebRankの『五月雨 ~samidare~(以下、五月雨)』(2002年)と『RefRain ~prism memories~(以下、RefRain)』(2011年)が挙げられる。

「お前ら、前に出ろ。」という威勢の良いキャッチフレーズで知られる『五月雨』は、シールドによって敵弾を吸収することでショットを強化できるシステムを採用。ゲージを使用するシールドと吸収したショットで放つハイパーによって、「残機+ボム」というシステムにはなかったリソース管理のあり方が斬新だった。『RefRain』ではこの方向性はさらに洗練されたものになった。詳述はできないが、通常ショット以外に二系統のリソースを消費する攻撃・防御手段があり、これらのリソースをうまく循環させることによって敵を撃破していくものだ。

これらのRebRankの作品が採用した複数のリソース管理システムは、結果として、画面下で弾幕を回避しつつ、苦手なパターンをボムで飛ばすという「残機+ボム」というシステムの持っていた受動的な要素を廃してきた。そこで求められるのは、プレイヤーが主体的に戦術を編み出し、敵を撃破していくというプレイスタイルだ。

『∀kashicverse』は、これらの同人STGの影響を受けつつ、多彩な攻撃手段と複数系統のリソース管理システムを採用することで、より積極的でアグレッシブなプレイスタイルを実現している。以下では、具体的に本作のシステムを紹介することで、本作がこれら2つの進化の方向性をさらに推し進めたのかを見ていこう。

両手を用いた多彩な攻撃手段「メソッド」

多彩な攻撃手段を実現するという点で『∀kashicverse』が向かった方向性は、「両手を使え!」というものであった。それが本作の一番の特徴である「メソッド」だ。この「メソッド」と呼ばれる特殊攻撃は、右手でコマンドボタンを押しながら左手でレバーでコマンドを入力して、ショットボタンで発動するという代物だ。

私はこの「メソッド」のコンセプトを東京ロケテゲームショウなどを通じて開発段階で既に知っていた。正直、STGで昇龍拳コマンド、果てはレバー一回転を要求するというこの途方もないシステムには「マジかよ!」と思った。思いつくだけなら誰でもできる。ある意味では陳腐で馬鹿らしいアイデア。だがエンドレスシラフはこの冗談のようなシステムで素晴らしいゲームを完成させたのである!
メソッドは細かな派生を除いても合計8つもある。近接攻撃、緊急回避的なボム、強力なワイドショット、瞬間移動、敵弾を誘導するデコイなど本当に多種多様だ。敵の猛攻も他のゲームと比べると桁違いだが、自機の武装も桁違い。まさに重武装vs.重武装の強烈な力のぶつけあいなのだ。

これだけ聞くと、本作は格闘ゲームのような繊細なコマンド入力が必要かと思われるかもしれない。だが、実際のところコマンド入力の受付時間は長く、昇竜拳コマンドにしても横・斜め・下と一個ずつゆっくり入力すれば発動する。逆にこのステップごとに入力する形式だとアーケードスティックよりもパッドでのプレイの方がやりやすかった。むしろ一番苦戦したのは、コマンド入力に慣れることよりも、パッドでのボタン配置だった。チュートリアルをひと通り理解した後、コマンドボタンとシールドの開閉ボタンの位置にはかなり悩んだ。

コマンドボタンを押しながら十字キーでコマンドを入力してショットで発動という操作系は、格闘ゲームともひと味ちがう。むしろ、ゲーム起動時に入力する「コナミコマンド」といった隠しコマンドに近い。またこの手のアイデアには「コマンド入力で敵機をハッキングする」というシステムを採用したフリーゲーム『Galax』(2003年)があったことを付け加えておこう。

ゲームに慣れれば、戦況に合わせてプレイヤーが取れる選択肢の多くに驚かされるだろう。コマンドボタンを押している時に発生する「抗体領域」が敵弾を遅くさせることも手伝って、ハイスピードな弾幕と大量の敵群であっても十分に制圧することが可能だ。終始テンションの高い音楽と合わせ、テンポよくコマンドを決めていくプレイヤーは、光と音に合わせて踊るダンサーとして陶酔するのだ。

シールドとメソッドという循環する2つのリソース管理システム

リソースの管理という点で、『∀kashicverse』が採用したシステムは、二系統のリソースを利用するものだ。

ひとつはシールドゲージであり、防御の要である。シールドは任意で開閉できるが、シールドを閉じた状態なら多少の被弾はゲージが減るだけでミスにならない。逆にシールドを開くと、ゲージを急速に回復することができるが、被弾すると即ゲームオーバー(実際には難易度によって異なる)。

もうひとつはメソッドゲージであり、上述したコマンド入力で発動できるメソッドのためのリリースだ。メソッドの種類によって当然、コマンドも異なるが、消費されるゲージの量も異なっている。当然だが、強力なメソッドほど多くのゲージを消費する。そのため、強力なメソッドを発動すると、しばらくは敵の猛攻に耐える必要があり、この辺りの駆け引きが攻略上の大きなポイントとなってくる。

この2つのシステムを基本としながら、『∀kashicverse』は『RefRain』と同様に、それらをうまく関連付けることで、二系統のリソースを循環させる。メソッドを使用して消費されたメソッドゲージはシールドを開くことによって回復することが可能なのだ。シールドを閉じた状態でも、メソッドゲージは敵弾のヒットやカスリによって回復するが、シールドを開くことによってその回復量は倍増する。もちろん、シールド開放時はゲームオーバーのリスクがある。だが強力な敵の攻撃に耐えるためには、積極的に強力なメソッドを使用し、シールド開放してゲージの回復を行なうというアグレッシブな循環的プレイスタイルを求められるのだ。

このシールドゲージとメソッドゲージのリソース管理は、ゲームバランスの調整においてもうまく機能している。比較的に自機狙い弾が多い本作の弾幕は、シールド開放によってメソッドゲージを回収できるタイミングが多い。そのため、たとえ強力なメソッドを発動してもゲージを取り戻す機会は頻繁に用意されている。またシールドゲージにしても、ボス戦前などの演出場面でシールドを開放することで回復する場面が多い。そのため、シールドゲージが減ってジリ貧になっても復帰できる可能性は豊富だ。

プレイヤーはリスクとリターンをリアルタイムに計算して、敵の猛攻により効率よく対抗していく。弾幕STGほどの繊細な弾避けは求められないものの、リソースに応じた状況判断が非常に重要になってくる。また構築した攻略パターンから逸脱しても、アドリブで乗りきれる場面も多い。このプレイスタイルと難易度選択の自由度の高さは、本作がカジュアルなシューターからベテランスコアラーまで広く楽しめる内容を担保している、

システム面から見た総評

もちろん、これらの多様な攻撃手段と複数のリソースによって、積極的に攻めていくというスタイルは以前から存在していた。代表例としてトレジャーの『レイディアントシルバーガン』(1998年)がこのスタイルにおけるパイオニアだ。

だが、一度に多くの選択肢が委ねられるこのようなシステムは、初心者には敷居が高く、一般のSTGとしては根付かなかったと言ってよい(そもそもSTG自体がマイナーなのだが)。だが、同人STGではゼロ年代以降、この種のスタイルが花を開き、実を結び、さらに洗練されたものになったと言える。『Hellsinker.』や『RefRain』がさらなる開拓を行い、『∀kashicverse』はその正統な後継者なのだ。

『∀kashicverse』は、プレイヤーが積極的に自分のプレイスタイルを作っていくという意味では、非常に自由度が高いゲームシステムだ。しかしながら、ステージにおける敵の出現や弾幕のパターンという意味では、非常にランダムな要素が少ない。そのため、敵の配置と弾幕の種類、ボスの攻撃の順番などは何度も死んで覚える必要がある。初見殺しはもちろん、特定のボスに至っては、通常の攻撃方法が効かないといった初プレイではわからないことがかなり多い。結果として、多様な選択肢の中で主体的にパターンを構築していくというのが、本作の大きな魅力だ。

だが、若干ながらシステム面での問題点が感じられた。第一に多様な選択肢として提示された8つ以上のメソッドが効果的に機能しているかという点。第二にリソース管理のシステムが全ステージを通した大局的なゲームバランスを成り立たせているのかという点だ。

前者に関しては、STGの楽しみとしてスコアアタックという要素があるため、断定は避けたい。だが少なくとも、私がクリアを目的としたプレイでは、まったく使用しないメソッドが2、3存在した。追尾型のレーザーである「Annihilator」(とその派生)、強力なワイドショットの「Menace Rejector」、あとは緊急回避的なボム「Banish Blast」の3点あれば、ほとんどの場面は切り抜けられる。限定的な場面でデコイの「Attractant Other」やド派手な演出共に登場する巨大兵器「Eliminator」を使用するのは楽しいが、必要不可欠ではないのだ。

後者に関しては、シールドゲージもメソッドゲージもステージごとに回復するため、通しプレイにおける戦略性が乏しいことが指摘できる。序盤で残機を稼いだり、ゲージストックを次ステージに温存するという発想がないため、『∀kashicverse』の通しプレイはあくまでも個別のステージを順番にクリアしていくだけになっている。唯一、ストックすることができる「Eliminator」のゲージもそれほど攻略上大きな意味を持たない。

そのため、本作においては、1つのステージ、1つのボスの攻撃パターンに詰まるとゲームの攻略が滞るという問題はある。もちろん、ボムというある意味、初心者救済システムを採用していない『斑鳩』(2001年)などでもその傾向は強い。しかも、残機制ではなくワンミスでゲームオーバーであるため、すべての弾幕やボス戦に明確なパターンを組む必要がある。(コンティニューは無限に可能であるため、とりあえずのクリアは簡単にできるのであるが。)


その他に特筆すべき点

上述したように、今回のレビューでは同人STGで培われた美学がシステム上、『∀kashicverse』でどのように発展してきたかに焦点を合わせた。だが本作の魅力は、ゲームシステムとしてのオリジナリティやバランスだけではない。なんといっても奥行き感を感じさせないフラットなグラフィック、ゲーム・ミュージックとしてか形容しがたいサイバーでドラッギーな音楽、そしてそれらが一体となる演出の数々は本当に圧倒的なクオリティだ。正直なところ、オールクリアした時の脳内は異常事態で心拍数は90以上あったと思う。それくらい本作はインパクトが強いゲームである。

ただし、チュートリアルやゲームのボリュームから言えば、それほどやりずらいものではない。ぜひとも本作から同人STGの魅力、そしてSTGが持つ未来を感じてほしい。そして世界的な水準からしてもトップレベルな作品をリリースしている国内の開発者たちにより一層の注目が集まることを期待したい。

また本作にはアーケードのSTGはもちろん、同人STGの傑作のオマージュと思しき演出が数々ある。それらはシーンにコミットしている人間にとっては涙せずして語れない熱い思いが込められている。STGを愛するものなら、間違いなくプレイする価値があるだろう。また日本のインディーゲームの歴史に残る作品としても、本作には5段階評価における4.5クラスの評価を与えたい。

4月に公開される予定のパッチや本作のストーリーや世界観についてはまだまだアップデートの予定があるそうだ。とはいえ、現段階での完成度はかなりのもの。国内のインディーゲームとしてはトップクラスのクオリティだ。流通はAmazonを通したネット販売が行われているため、アクセスしやすい。今後は海外でのダウンロード配信などに期待したいところである。


『∀kashicverse -Malicious Wake-』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/
エンドレスシラフ公式サイト
http://endless-shirafu.com/

記事中で言及されたSTG一覧

本稿にはいくつか2DSTGへの言及がなされているので、以下にリンクを貼っておく。リリースの時系列に沿って並べている。言うまでもないとは思うのだが、念のために補足しておくと『レイディアントシルバーガン』、『斑鳩』は商業作品である。

『超連射68K』(ファミべのよっしん、1995年)
http://www2.tky.3web.ne.jp/~yosshin/
『レイディアントシルバーガン』(トレジャー、1998年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/silvergun/sgindex.html
『斑鳩』(トレジャー、2001年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/ikaruga/ikaruga.html
『らじおぞんで』 - フリーゲーム夢限*1(犬丼帝国、2002年)
http://freegame.on.arena.ne.jp/rank/game/radio.html
『らじおぞんで』 - Vector
http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se313786.html
『東方紅魔郷』(上海アリス幻樂団、2002年)
http://www16.big.or.jp/~zun/html/th06.html
『五月雨 ~samidare~』(RebRank、2002年)
http://www.rebrank.org/products/smd/
『Galax』(masaHG、2003年)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/masaHG/glxmain.htm
『Hellsinker.』(RUMINANT'S WHIMPER、2007年)
http://negishiomaru.nobody.jp/
『RefRain ~prism memories~』(RebRank、2011年)
http://www.rebrank.org/products/RefRain/

*1 公式サイトが消滅しているため、参考として掲載

HOTLINE TOKYO 2nd開催告知。扱うタイトルは『ふしぎの城のヘレン』

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HOTLINE TOKYO
 1: ニューゲーム
●2: コンティニュー
 3: シャットダウン
タイトルをひとつ取り上げて、あれやこれやと語り合うイベントHOTLINE TOKYO。「前回も楽しかったので早く次回やってくれよ」と思っていたところに第2回の概要が到着したので告知したい。

今回、語り合うのは『ふしぎの城のヘレン』

以下が企画趣旨である。
インディーゲームについて話し合う座談会。


『To the Moon』、『Hotline Miami』と海外インディーゲームを渡り歩いた我々は、日本のゲームの奥底を探索する。今回、扱うのはRPGツクールで多数のゲームを発表してきたさつ氏の『ふしぎの城のヘレン』。2011年の大晦日に開催された「VIPRPG紅白2011」の「マイベスト部門」1位を獲得するなど、フリーゲーム界隈ではすでに傑作と名高い。今年3月にはPLAYISMから配信されることになり、英語版のローカライズも決定している。

RPGツクールというツールを使いながらも、シンプルかつ高度に洗練されたシステム。キュートなドット絵とサイドビューによるアニメーション。そして謎めいた物語。ちょっと触れただけでもその魅力は十分に伝わるが、せっかくなのでじっくり語ろう。

参加したい場合は、以下のいずれかから主催である死に舞氏へ連絡すること。

Twitterアカウント - 死に舞
https://twitter.com/shinimai
メール
aka.shinimaiアットgmail.com

参考として前回のHOTLINE TOKYOの関連記事も貼っておく。

関連記事:

『Hotline Miami』について語り合うイベントHOTLINE TOKYOが開催
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/03/hotline-miamihotline-tokyo.html
HOTLINE TOKYO跡地
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/03/hotline-tokyo.html

『ふしぎの城のヘレン』について

個人的には、2012年の「俺(Mozu)がプレイしたゲームオブザイヤー」受賞作(別にそういうものは発表していないが)。情報過多を避けてランダム要素を排除しつつ構築された、極めてエレガントな戦闘のゲームデザインは特に素晴らしい。斬新、かつプレイヤーを突き放すような不親切さを感じさせない内容で驚嘆の一言に尽きる。

RPGとしてはプレイ時間はかなり短いほうで、4~6時間もあればクリアできるので、週末に一気プレイするのを推奨したい。また、上記企画趣旨でも触れられているとおり、PLAYISMより英語版(英題は『Helen's Mysterious Castle』)のリリースが決定していて、ファンメイドではあるが現在、韓国語にも対応した模様。ダウンロードは以下のいずれかから可能。

さつ氏公式サイト
http://www.geocities.jp/i_to_may/
 『ふしぎの城のヘレン』 - PLAYISMhttp://www.playism.jp/games/helen/

なお、本ブログに『ふしぎの城のヘレン』のレビュー記事とインタビュー記事があるので、興味を持った方は参照してみるといいだろう。特にインタビューはオススメ(ネタバレはないがクリア後の閲覧を推奨)。

それとほかのRPGツクール作品をプレイしてから『ふしぎの城のヘレン』を見ると、ヘレンのダッシュモーションはやはりかわいらしい、ということに改めて気づかされる、ということだけ念押ししておく。

関連記事:
レビュー『ふしぎの城のヘレン』
『ふしぎの城のヘレン』製作者インタビュー
『ふしぎの城のヘレン』がPLAYISMでリリースhttp://nydgamer.blogspot.jp/2013/03/playism.html

インディーゲームの小棚:Shelf#08『ナイトガイスト』

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連載10回を迎える間もなく、3週連続で休載してしまった筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第8回は、デッキ構築型のカードゲーム『ナイトガイスト』を紹介する。不定期連載にしてもいいような気もするけど、それやっちゃうと絶対更新しなくなるという罠。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

開発は丈・ふらっ子氏。第三回ウディフェス*1に出展している。

*1 WOLF RPGエディター製のゲームが集まるオンラインイベント。近しいイベントとしてWOLF RPGエディターコンテスト(通称、ウディコン)が挙げられるが、ゲーム内容を競うウディコンとは異なり、投票や順位発表といったものはない。よりお祭りという感覚の強いイベントと言ってよいだろう

ゲームはデッキ構築型と呼ばれるカードゲームの形を採っている。デッキ構築型と言えばボードゲーム『ドミニオン』が代表格だが、『ナイトガイスト』のゲームプレイも実際のボードゲームをビデオゲームとして落とし込んだような印象だ。『ドミニオン』をプレイしたことのある人なら理解もたやすいだろう。

操作はすべてマウスで行う。マウス左ボタンで決定、マウス右ボタンでキャンセル、またはメニューを開くことができる。1ゲームかかる時間は15分~20分程度。

本作は人間と魔物の軍団の激突を描いており、プレイヤーは人間側にあたる。ゲームはターンベースで進行し、毎ターン自軍の戦力を整えながら魔物軍の侵攻を凌ぎ、最終ターン(基本は20ターン)まで攻撃に耐え切れば勝利だ。ターン開始時にダイスによって決定する魔物戦力(敵軍の戦力)に対し、自陣に兵員を展開してそれを迎え撃つというのが基本的なターンの流れ。
終盤は魔物戦力決定用のダイスが6個となり、かなりの戦力を成す
自軍戦力はターン開始時に配られる5枚のカードの総戦力で決定するが、そのままでは魔物戦力に太刀打ちできないことも多いので、以下の3つのアクションをすることで自軍戦力を拡張していく。
  1. 「サプライエリア」からの兵員展開(供給)
  2. 自陣に展開された兵員による能力行使
  3. 「士気」を使用しての兵員補充
「サプライエリア」はこれから自軍に加えることのできる兵員たちが並んでいる。ここから毎ターン1枚だけ入手して、自陣に展開することができるのだ。自陣に展開した兵員の戦力は総戦力に加算されるため、毎ターン6枚のカード(初手の5枚とサプライエリアから入手できる1枚)まではノーコストで兵員を展開可能ということになる。
カードの左側に書かれた剣のアイコンのマークの下の数字が、そのカードの戦力
《騎士》の場合は戦力3だ
能力行使によって戦力を拡充することもできる。能力にはカードの入手上限を増やすもの、カードを引けるもの、「士気」を上昇させるものなどがある。ただし、能力行使できるのは自陣に展開された兵員の能力だけとなっている。とはいえ、デメリットのあるものはあまりないので、気軽に使っていけるのが魅力だ。
一部能力のないカードもある
《流浪の剣豪》は能力がない代わりに戦力がバカ高い
能力には特定の条件でのみ発動できるものも存在する
《預言者》はゲーム後半向き
さらにそれでも戦力が足りなければ、「士気」を1消費することで山札からカードを1枚引いて、自陣に展開してもよい(式の初期値は10)。士気は重要なリソースで、0になるとその時点で敗北となる。さらに自軍戦力が魔物戦力を下回った状態で戦闘した場合は、戦力差分だけ士気を失ってしまうので、自軍戦力が十分ならば士気を消費してカードを引く必要性は(ほぼ)ない。

ターンが終了すると自陣のカードはすべて捨て札へと移されて、次のターンになる。また、デッキ構築型ゲームの例に漏れず、山札を引ききった瞬間に捨て札をシャッフルして、これを新たな山札とする。このため、「サプライカード」からの兵員補充はのちのちのゲーム展開にも影響を及ぼす。ほかのカードとの相乗効果(いわゆるコンボ)などを考えて選択していこう。

『ナイトガイスト』では山札が空になったときに、山札に《難民》というカードが1枚紛れ込むようになっている。このカードはまったく役に立たない邪魔なカードとなっており、これがプレイヤーの進行予定を狂わすちょっとしたスパイスになっている。
《難民》は戦力0で、能力もないという完全なる無駄カード
と長くなったが、ここまでがおおよその本作の流れである。

1人プレイ専用ということでやや『ソリティア』っぽさがあるのは否めないが、ゲーム後半に顕著な自陣にカードがたくさん並んでいくコンボ感、インフレ感、コンボや今後のゲーム展開を考えた「サプライエリア」からの兵員補充、ライフである士気を使ってのカードドローなど、カードゲームらしい楽しさをたっぷりと味わえる。

初級、中級、上級のほかに、さらなる高難度である混沌も用意されており(ランダム要素が強いがクリアできないほどではなく、安定してクリアできる調整ではある)、この手のゲームに馴染みがない人から慣れ親しんだ人まで気軽にプレイできる。『ナイトガイスト』は第三回ウディフェスのページから無料でダウンロード可能だ。
どこまで詰めた内容かは不明ながら、スコアアタックもできる
第三回ウディフェス(2013年)応募作品 - ウディフェス
http://hinezumi.velvet.jp/wodifes/contents/pastworks/2013/pastworks_2013.php
※『ナイトガイスト』は59にエントリーされている

ニコニコ超会議2がらみのニュース

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2013年4月27日、同28日に幕張メッセで開催されるニコニコ超会議2に関していくつか。

ニコニコ超会議2公式サイト
http://www.chokaigi.jp/

『TorqueL』がニコニコ自作ゲームフェスでなんらかの賞を受賞

FullPowerSidAttack.com のなんも氏が手がけた『TorqueL(トルクル)』が、ニコニコ自作ゲームフェスでなんらかの賞を受賞したと、なんも氏がブログで明かしている。どの賞を受賞したのかは伏せられているそうで本人もわからないそうだ。
『TorqueL』は、同氏の過去作『BREAKS』や『ARP-BOX』とは毛色の異なる2Dアクションゲーム。

ゲームの目的は極めて単純。プレイヤーキャラクターをステージ上にあるゴールへと導けばよい。プレイヤーキャラクターは左スティックで転がることができるが*1、自力でジャンプできないというのが大きな特徴で、ジャンプの代わりに「あるもの」を使ってステージを進んでいく。「あるもの」というのはプレイヤーキャラクターを囲っている枠のことだ。この枠は4色にわかれており、それぞれの色に対応したボタン(赤ならBボタン、青ならXボタン)を押すことで枠が棒状に伸び、それを使って活路を切り開いていくというゲームになっている。

*1 Xbox 360 コントローラーに対応している。キーボードでの操作も可能。

ゲームプレイは、棒を伸ばしてすぐに縮めて(ボタンを放すとすぐに棒は収縮する)ジャンプしたり、棒をひっかけて高所に登ったりといったアクションがベースとなっており、一見とてもシンプルなのだが、アナログな操作感覚が奇妙な味わいとプレイの幅を作り出している。ちなみにステージは全部で10あるのだが、私はステージ7あたりで挫折している。

【追記あり】ニコニコ自作ゲームフェスの何かの賞を受賞したらしい件 - 戸袋に手を引き込まれないように
http://nanmo.hateblo.jp/entry/2013/04/19/222050
[Release] TorqueL prototype 2013.03 - FullPowerSideAttack.com
http://fullpowersideattack.com/post/46644047292/release-torquel-prototype-2013-03

そのほかの受賞作について

ほかのゲームはプレイしていないのでタイトルだけの紹介になるが、以下の作品もなんらかの賞を受賞していると、開発者が明かしている。

『感染性ナイトメア』
※Twitterで知って雰囲気が好みだったのでプレイを予定していたのだが、なぜかセーブができなかったのでプレイを断念している。

『くのいちと小判』
『迷宮航路グラナドア』
※第三回ウディフェス出展で気になっていたタイトル。プレイ済みなのだが、個人的に合わず1プレイのみで終えてしまった。本作はテキストオンリー(画と音楽なし)のRPG。キャラメイクに、ダイスで諸々の判定を行ったりとTRPGライクな手触りで、ネットワーク機能も使っている。

『BoneStage(ボーナステージ)』
『Treasures of the dragon』
なんと!受賞を伝えるメールではありませんか!!!
なんとあのTreasures of the dragonが受賞ですよ!!
http://blog.ap.teacup.com/sakuseioi/139.html

なお、敢闘賞受賞の作品者には「敢闘賞受賞の旨」の連絡が来ている模様。以下にタイトルを列挙しておく。なお、出典はニコニコ大百科(仮)の「ニコニコ自作ゲームフェスについて語るスレ」とTwitter。

  • 『使い捨て勇者』
  • 『ギャンブルクエスト』
  • 『ゴーレムのハーレムでメルヘンなADV』
  • 『コトノハタウン』
  • 『ジャイアントバスター』
  • 『女子中学生の衣服をバラバラにするゲーム』
  • 『しりとりパズル ルリルのことば』
  • 『ステップステップ2』
  • 『スナグマンズ・バトルホイール』
  • 『世界終焉神話 MYTHOS 第一部 前篇』
  • 『どんぱっぱ』
  • 『爆裂サンタ†スーパーマリィ』
  • 『はじめての宿屋さん』
  • 『ボツネタ通りのキミとボク』
  • 『蟲喰いノ哭』
  • 『ワタシノホネ再構築』
  • 『42 : ななし』
  • 『Duple Story』
  • 『IOAL』
  • 『MuNiCa~Cry of Pluto』

敢闘賞は当初予定になかったが、盛況ぶりを見て急遽追加したものらしいという話も聞こえてきている(ただし、真偽は不明)。分断されている部分も多い、さまざまなゲーム開発クラスタが一同に介した意味は大きいと個人的に感じている。

ニコニコ自作ゲームフェスの授賞作発表及び、受賞式は2013年4月28日の11:00~12:00に行われる。

ユーザー企画ブースにて同人ゲームブースが出展

ユーザー企画ブースにて、関西同人ゲーム制作者交流会の筆者氏が同人ゲームブースを出展するそうだ。開催日時は2013年4月27日の11:00~13:00となっており、タイムテーブルは以下のとおり。

第1部 同人ゲームサークルさんの本音(11:00~11:30)
  1. 作品開発と発表
  2. ユーザーからの質問など
2012年末『ファタモルガーナの館』をリリースしたNovectacle。同サークル代表の縹けいか氏を迎え、開発と発表から今後に至るまでを訊いていく。
コミケで壁になった時に作品完成しなかった話などは是非聞いてみたいものです。
ということらしいので結構突っ込んで訊くつもりのようだ。以前、本ブログと協力して募集を行った質問にもいくつか答える予定らしい。

ニコニコ超会議2に出演します!! - Nove blog
http://novectacle.lys.hiho.jp/?eid=80

※記事作成遅れておりまして申し訳ございません

2部 完成率10%未満。東西同人ゲーム交流会トーク
  1. 東西で同人ゲームサークルやクリエイターが集まる交流会を開催している方を招いてのトークを行います。
  2. 完成率10%は本当なのか!?
3部 同人ゲームから商業ブランドへ

「仕事を辞めて(エロゲ)メーカーを立ち上げる」という言葉を実際に実行したSMILE(スミレ)からディレクションとシナリオを担当している雪仁氏を招いてのトークショー。

各部の合間には同人ゲームサークルの紹介が行われる予定となっている。2部と3部の相田にはスタジオKPCのけっぽし氏が登場するようだ。

ユーザー企画ブース! - ニコニコ超会議2 公式サイト
http://www.chokaigi.jp/2013/booth/category/userbooth.html
関西同人ゲーム制作者交流会 - ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1975904

インディーゲームの小棚:Shelf#09『Henry Attacks!』

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明日に迫ったPC版『Fez』のリリースを心待ちにしている筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第9回は、2Dと3Dの世界を切り替えつつ進むアクションゲーム『Henry Attacks!』を紹介する。「頭の切り替え」なんてよく言いますけど、そういうのが苦手な筆者のような人は「マルチタスク人間だ」と言い張っていきましょう。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/



『Henry Attacks!』はロシアのデベロッパMechanical Starlingによるアクションゲーム。ゲームの目的は、とにかくマップの上方を目指すこと。そこかしこに落ちている銃器やアイテムを拾ってプレイヤーキャラクターのHenry(かどうかはわからないが、便宜上Henryということにしておく)を強化しながら先へと進んでいこう。

ユニークなのは、マップを2D表示と3D表示とに切り替える機能があることだ。この機能はYボタンを押すことでいつでも使用でき*1、一見行き止まりに見える場所をこの表示切り替えを使って進むのにが基本となる。

*1 Xbox 360コントローラーに対応。アナログスティックには対応しておらず、キャラクターの移動は方向パッドで行う。
例えばゲーム冒頭の青いバーで遮られている場所で3D表示に切り替えると……
道を塞いでいた青いバーが画面手前側に表示され、先へと進めるようになる
一見足場がないこんな場所でも……
2D表示に切り替えると、
手前側(先の写真、右下部分)にあった足場が目の前に現れる
また、Henryに次々と襲い掛かってくる敵たちの移動範囲も画面表示に依存するため、この切り替え機能をうまく使うことで敵を撒いたり、閉じ込めたりもできる。マップが完全固定であるため、プレイの新鮮さは徐々に失われていくのだが、一方で敵の出現は完全固定ではなく、プレイヤーには状況に合った対応が求めら、飽きないように工夫がされている。
開けた空間があれば、3D表示で敵をやりすごしたりできる
ランダムという点で言うと出現するアイテム類もプレイを豊かにしている。はじめは非力なハンドガンで進んでいくHenryだが、貫通効果のあるマグナムや着弾時の爆風が強力なバズーカ、近接戦闘向きのチェンソーなど個性豊かで多彩な武器が用意されており、それらを使いこなす楽しさがある。なお、武器は一度に1種類しか持つことができない。

アイテム類はライフを回復する食べ物系のほか、Henryに特殊な能力を付加する帽子系(B
ボタンで装備)、ジャンプ力やライフを増強するもの、シールド(実質ライフ2倍)などがある。アイテムの入っている金庫を開けるための鍵、エレベーターを使うためのお金といったように、単体では意味を成さないアイテムもある。

先述のようにマップは完全固定で、さらにリアルタイムで操作を要求するアクションゲームなのだが、ランダムに現れる武器やアイテムを駆使して、先へ先へと進んでいく感覚はローグライクのそれに近い。たまに現れるやたら強力なアイテム(ジャンプが浮遊になり、どんどん高所へ上昇していける帽子、自動追尾武器のfirefliesが筆頭)もその感覚を後押ししている。

惜しむらくは、リトライがステージの最初からなことだろう。

本作の難易度は決して低くなく、どうしても同じ場面の繰り返しになりやすい。いくらランダム要素で状況に「ゆれ」を作り出しても結局のところ、見栄えはあまり変わらず、プレイヤーが上達している手応えがやや薄い。開発へもそういった要望がいくつか届いているようでアップデートも検討しているようだ。今後に期待したい。
2Dと3D、両方の表示が用意されているアイテム類のグラフィックがかわいらしい
公式サイトにはハイスコアランキングが掲載されている。登録は自動ではなく、プレイヤーがゲーム上でデータを送信する必要がある。ちなみに筆者はかつてトップランカーだったのが現在は6位へと転落してしまった。

HIGH SCORES - 『Henry Attacks!』公式サイト
http://henryattacks.com/Highscores/Highscores.php
『Henry Attacks!』はDesuraで無料で配信されているほか、公式サイトからも無料でダウンロードが可能(元は有料ソフトだった)。シンプルながら驚きのある仕掛け、歯ごたえのあるゲームプレイと魅力的な部分も多いのでぜひプレイしてみてほしい。

『Henry Attacks!』公式サイト
http://henryattacks.com/
『Henry Attacks!』 - Desura
http://www.desura.com/games/henry-attacks
Mechanical Starling公式サイト
http://mechanicalstarling.com/

別サイトでの『Henry Attacks』の紹介記事
Henry Attacks! - またたび屋敷
http://matatabi-yasiki.blogspot.jp/2013/04/henry-attacks.html

インディーゲームの小棚:Shelf#10『Monaco: What's Yours is Mine』

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ステルスゲーム大好きっ子な筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第10回は、トップダウンステルスアクション『Monaco: What's Yours is Mine(以下、Monaco)』を紹介する。コソコソした日常生活を送ったとしても、ノーアラートによる称賛をしてくれる人はいなく、誰からも気づかれないという理不尽仕様となっているのが難しいところ。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

『Monaco』を開発しているのは、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴのデベロッパPocketwatch Games。いくつかの作品をリリースしているが、やはりIndependent Games Festival 2010でSeumas McNally Grand Prizeを受賞したこともあり、今回紹介する『Monaco』がいちばん有名だろう。戴冠からかなりの期間を経てリリースされたため、筆者のなかでは「いつリリースされるのだろう」と思いつつも待ち続けていたタイトルで、その点においては『Fez』に近い。

ステージクリア型を採用。ステージごとに定められた目標を達成しつつ、所定の脱出地点からマップを離脱すればクリアとなる。クリア目標は、何かを盗むだとか、マップ上に囚われている仲間を救出するだとかで難しいものはない。基本的にはマップ上の財宝なり仲間なりに触れさえすれば完遂する。また、マップ上に散らばっているコインを集めることでスコア(クリア時、タイムに換算される)が上昇する。

『Monaco』の根幹を成すのは、以下の2つ。

  1. 解錠やハッキングといったアクション
  2. プレイヤーキャラクターによって異なる特殊能力

1つめは、いくつかのオブジェクトに対して行えるアクションのことを指す。具体的には解錠、セキュリティへのハッキング、変装、アイテムの入手が主なものとして挙げられる。特定のオブジェクトに触れ続ける(オブジェクトに触れた状態で、その方向に移動し続ける)ことでアクションを開始し、そのとき表示される円形のゲージがいっぱいになるとアクションが完了する。

ゲージがいっぱいになる前にその場を離れると
アクションがキャンセルされ、最初からやり直しになってしまう
上述のアクションが誰でも行えるものだったのに対して、2つめに挙げた特殊能力はキャラクターによって異なる。例えば、The PickpocketはペットのサルHectorがコインを勝手に集めてくれるし、The Moleは壁をぶち壊すことができる。ほかにもThe Locksmithのように解錠スピードが上昇するといった能力もある。これによって同じマップでもプレイヤーキャラクターによってプレイ感覚が異なるのが特徴となっている。
プレイヤーキャラクターはステージ開始時に選択する方式となっている
『Monaco』はトップダウン視点のゲームだが、プレイヤーの視界を大きく制限しているのも特徴だ。ドアが閉まっていれば、ドアの向こう側は見えないし、初めて訪れたマップならそこを実際に視界に入れるまで、構造は一切知ることができない(マップ自体は固定である)。その代わりに付近を歩く敵の足音が聞こえたり、距離が近ければ足音とともに足跡が表示されて敵の位置を推測できるようになっており、目だけではなく、耳にも頼らないといけない内容になっているのがいかにもステルスゲームっぽい。
このように視界に入らない部分はグレーで表示され、敵の位置を直接見ることはできなくなる
本作をほかのステルスゲームと比べると、ノーアラートやノーキルといったステルスゲームではお馴染みとなっている、完全なステルスプレイを推奨するデザインになっていないのが興味深い。『Monaco』では、それらを完遂してもゲーム側から褒められることはないのだ。

また、敵から発見されても、リカバリーが容易いのも特徴として挙げられる。特にゲーム序盤はこの傾向が顕著となっており、ステルスゲームを難易度の点から敬遠している人でもプレイしやすいだろう。
ステージが進むにつれ、セキュリティは厳重になっていく
マルチプレイ(協力)はシングルプレイと同じマップで、プレイヤーキャラクターが増えるという形式を採用している。このため、シングルプレイよりもさらに気楽に挑戦できるのがうれしい。アラームを鳴らしてヒヤヒヤしていたシングルプレイとは異なり、賑やかなゲームプレイになりやすくオススメ。
『Monaco』は公式サイトからHumbleヴィジェット経由での購入($15)か、Steamでの購($14.99)入が可能。Humlbleヴィジェット経由での購入は、SteamキーとDRMフリー版がつくそうだ。

『Monaco: What's Yours is Mine』公式サイト
http://www.pocketwatchgames.com/Monaco/
Pocketwatch Games公式サイト
http://www.pocketwatchgames.com/

告知

今回の更新をもって、以降の「インディーゲームの小棚」は不定期連載とする。

主な理由は、筆者があまりゲームを消費できておらず、週一更新が枷となってほかのコンテンツ(レビューなど)に力を注げなくなってきたように感じたためだ。プレイしたゲームには一定の敬意を払って紹介したいし、更新そのものが目的化してしまっては本末転倒なので、このように判断した。

もしも楽しみにしていた方がいたのなら申し訳なく思う。

より充実したコンテンツを提供できるようにしたいので、そちらに期待してほしい(なお、『Monaco』については詳細なレビューを後日書きたいと思っている)。

レビュー『ファタモルガーナの館』

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2周めのプレイを終えてからかなりの時間が経ってしまったが、今年に入ってからずっと推し続けている『ファタモルガーナの館』のレビューである。

好きすぎていつまでも書き終わらない呪いにかかっていたようで、「仮に自身が生まれ変わったとしても、この呪いは永遠に解けないのではないか」と思っていたのだが、本作をめぐっての大きな動きもあったので「こんな文章ではよさが伝わらない」という気になる部分がありつつも、どうにか書き終えたのでぜひ読んでいただきたい。

概要

■ジャンル ビジュアルノベル
■開発 Novectacle(ノベクタクル)
■プラットフォーム Win
■リリース日 2012年12月31日(コミックマーケット83)頒布
■価格 2000円(ショップ委託2500円)
■入手経路 各種イベント、委託ショップ(ダウンロード販売あり)
■公式サイト http://novect.net/
■プレイバージョン 2013年2月10日更新パッチ適用
■プレイ時間 40時間(2周プレイと全エンドの回収)

『ファタモルガーナの館』は、同人サークルNovectacleによる全年齢対象の長編ビジュアルノベル。サークル代表の縹けいか氏が企画・シナリオ・演出といった総合的なディレクションを行なっている。縹氏を含めたサークルメンバー4名が開発に携わっているほか、楽曲や着色などサークル外の人間も関わっており、10名強が製作に参加している。

開発に4年を費やした『ファタモルガーナの館』がサークルの代表作品であるものの、本作のキャラクターが登場する(ただし『ファタモルガーナの館』とは姿こそ同じものの別人、別世界という扱い)『霧上のエラスムス』が先立ってリリースされている。

吉里吉里にて開発。操作や基本的なシステム周りに特筆すべき事項はないものの、安定感のある仕上がりだ。私はほとんどXbox 360のコントローラパッドでプレイしたが、パッド操作に最適化されているわけではないのであくまでも「パッドでも操作できる」程度に捉えておいたほうがよい。
パッド操作だと、セーブやロード周りでの操作にやや難あり
クリア後の特典として、スチル(イベントグラフィック)閲覧の「美術館」や開発者のお遊びが垣間見える「舞台裏」といったエクストラコンテンツが用意されている。さらに本編にも僅かながら2周め独自の要素が存在。変化自体は小さく、本作を気に入れば見る価値のあるものではあるものの、変化そのものに期待を寄せてプレイするのはオススメできない。基本的には1プレイできっちり完結するものと思ったほうがいい。
自由に楽曲を聴ける「音楽館」のモードもクリア特典に含まれる
歌詞を知ることでより作品を味わえる
体験版は公式サイトなどからダウンロードが可能。ゲーム序盤の2章分、プレイ時間にしておよそ3時間程度のボリュームがあり、購入するか迷っており、本作の内容を判断したいのならプレイしたほうがよい。

「ファタモルガーナ(Fata Morgana)」は「蜃気楼」という意味だそうだ。私の場合、「蜃気楼」と言えば「Mirage」なのだが、「Fata Morgana」という言葉は『アーサー王物語』の登場人物モーガン(Morgan)が語源らしく、それゆえかヨーロッパではこちらも俗称として広く使われているようだ。

ゲーム内容

「その館に住む者は、必ず不幸になる」というキャッチコピーにあるとおり、本作の舞台は、とある理由で呪われている館だ。館に過去より永劫に続いている呪いの輪廻を紐解くというのが大きな目的となっており、物語は500年以上の時を行き来するという壮大なものとなっている。いわゆるループものではないが、既視感をうまく絡めた物語の構成からループもののそれに似た感覚を受けるかもしれない。

物語は、主人公である「あなた」が「旦那さま」と呼びかける女の声で目を覚ますところから始まる。そこは古びた館で、窓を打つ雨音と暖炉で火の爆ぜる音以外に何もないような生気の感じられない場所だ。なぜ「あなた」が館にいるのかはわからないまま、不思議な雰囲気の女中に手を引かれ、「あなた」は館の歴史をいくつか見ていくことになる。自身が何者なのか、眼前の女中が誰なのかを思い出すために。
「あなた」を「旦那さま」と慕い、語りかけてくる女中
女中に見せられる館の歴史は4つあり、これらが物語の序章を構成している。

1つめは「1603年 薔薇園の時代*1」。屋敷に住まう貴族の兄妹が主役である。人柄のよい兄と、幼少期より兄へと想いを寄せていた妹。年頃を迎えて恋慕の輪郭を帯びていく妹のそれは、館に白い髪の女が現れることで徐々に歪さを増していく。憧憬は恋慕へ、そして恋慕は嫉妬で焼け爛れるのである。その激情は、薔薇が咲き乱れるかの如く。

2つめは「1707年 狂獣の時代」。戦乱直後の時代、その館には「獣」が住んでいた。人を殺める衝動に駆られる化け物が住む館と、「獣」の恐怖に怯える海沿いの集落を舞台としている。館を訪れる白い髪の女、そしてとある事情で集落を尋ねる黒髪の女の登場によって、物語は思わぬ方向に動き出して行く。海の鮮やかな青の印象の強いエピソードだが、殺戮衝動の紡ぐ未来は赤に染まる。

3つめは「1896年 銑鉄(せんてつ)の時代」。産業が大きく飛躍する時代を迎え、館の主は大陸鉄道という大事業を成そうとする野心家の男となった。野心家の妻は白い髪の女。健気な妻と傍若無人な夫との仲は、傍から見ても決していいものではなかったが、ある事件をきっかけに関係はさらにこじれていく。寄せた想いは返さず、ねじれた想いだけが虚しく軋む。大陸鉄道の完成とともに迫る崩壊の足音は、彼らの耳には届かない。

4つめは「1099年 弾劾の時代」。時系列的には先の3つの時代より前にあたる。物語は、理由なき弾劾を受けた白い髪の女が館へと逃げこむところから始まる。館で出会うのは彼女と同じく白い髪をした人物。幸か不幸か奇妙な一致を見せた2人の生活は、このように唐突に始まるのだが、ここまでの館の歴史を見てきた「あなた」なら、この逃避行の結末を語るまでもなかろう。彼らの行き着く先は楽園ではない。楽園だとしたのならば、それは虚構なのである。

全編通して舞台となるのは同じ館だ。館の過去はすべて悲劇で塗りつぶされており、「あなた」はそれを次々と見ていくことになる。時代を問わず現れる白い髪の女、いつもそこにありつづける「館の女中」と謎は尽きないが、真相は4つの時代の向こう側にある。「あなた」はそこで知ることになるだろう、「他人の悲劇だから耐えてこられたんだよ」*2の意味を。
女中と同じく謎多き、白い髪の女。物語の鍵となりそうだ
ただし、最初の4章は序章にすぎず、四章終了時点で全体の3分の1程度である。序盤の展開を見ると、1話完結型のいくつかの悲劇を扱ったオムニバス形式のように見えるのだが、実際には館をめぐる一本の大きなストーリーが横たわっており、そこに続くための準備段階にあたるのが序盤の4章となっている。参考としてシナリオを手がけた縹氏のTwitter上での発言を貼っておこう。
公式には「西洋浪漫サスペンスホラー」と題しており、暴力描写などもあるため、その手のものが特別苦手という方には勧めにくい。イラストで言えば、本稿で使っているスクリーンショットのレベルのものを想像してほしい。たしかにサスペンス、ホラーといった要素は感じるが、物語の根幹で描かれているのは人の業であり、そこに生まれる葛藤、苦難をはねのける強い意志や信念、人の想いなどである。詳しくは次項にて詳述する。
*1 それぞれの時代の名前は便宜的に私がつけたもので、公式のものではない。
*2 公式サイトなどにある文言

本作を際立たせるさまざまな要素。肝となる物語の魅力

同人ゲームにおいて馴染み深いビジュアルノベルというジャンルでありながら、西欧を舞台にした物語、耽美なビジュアル、歌曲も用いられた表情豊かな楽曲と、本作を構成する素材は同人界隈でも異彩を放っていると言えよう。特に画と楽曲の部分は、プレイしなくとも公式サイトからいくつか確認できるので、ぜひ公式サイトで確認してみてほしい*3

一部の効果音を除いて、音楽はすべてオリジナルのものを使用。5名の作曲家が手がけた楽曲は圧巻の65曲を収録し、「異常なほど」と言っていい力の入れようである。映画の劇伴を手がける作曲家も参加しており、「ノベルを観劇に」というサークルテーマをまさに体現している。

一章と二章、三章、四章とでそれぞれ異なる3名の作曲家が担当しており、曲自体の色合いもずいぶんと違う。結果、音響によって各章を強く印象づけることに成功している。

また、全収録曲数の半数を越える実に35曲が歌曲というのも大きな特徴だ。歌詞は日本語ではなくポルトガル語が用いられている。そのためか歌が邪魔に感じることはなく、むしろ場面を盛り上げる効果を果たしている。

ビジュアルは言葉で説明するまでもないかと思う。実際に見てもらったほうが早い。ちなみにイラストを担当している靄太郎氏は、インタビューにて「末弥純氏の影響を受けている」と明かしている。私の場合、ゲームファンでありながら末弥純氏を知らなかったこともあり、最初に想起したのは『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』などで知られる小島文美氏である。

*3 一部楽曲は公式サイトから試聴可能

音楽・絵 - 『ファタモルガーナの館』公式サイト
http://novect.net/music_illust.html
さて、未プレイの人がもっとも気になるであろう肝心の物語について話そう。

物語は筆致、展開ともに目を見張る出来と感じた。館の呪いが引き起こす悲劇や惨劇は、ことごとく人の業を炙りだし、そこに対峙する人間の葛藤を精細に描いている。

際立って素晴らしいと感じたのは、登場人物たちの立ち振る舞いや発言である。悲劇ばかりを描いている物語の構成上、陰惨な出来事が続くとはいえ、やはりプレイヤーとしてはカタルシスがほしい。一方でプレイヤーは登場人物が急に様変わりするようなご都合主義は、最悪の結末であると経験で知っている(知らないのであればよほど恵まれた物語環境で育ったか、あまりに物語に触れずに育ったかのどちらかだろう)。

だが、本作においてそれは杞憂に終わる。最後の最後まで人物像をブレされることなく、説得力ある描写を完遂し、美しい幕引きを成し遂げているのだ。役者である登場人物も、追いかけ続けてきた物語も、私たちプレイヤーを決して裏切りはしない。
舞台となる館は、数多の不幸で彩られている。このため「きっと次なるページにも恐らくは不幸が綴られており、ページを繰る自身の手は不幸を紡ぐのだ」という確信がたしかにあるのに、私は読み進めるのを止めることができなかった。では「その原動力となったのはなんだろう」と考えてみると、描かれているものにどこか共感を覚えるからではないかと感じた。

メインだけでも優に10名を超える登場人物たちは皆、自身の幸せを願っている。しかし、誰しも容易には逃れられないような心的、あるいは物理的な縛りが存在している。それは他者に弱みは見せられないという歪んだ自尊心かも知れないし、変えることのできない強い信念かも知れない。「縛り」とは言ったものの、それこそがその人物たる本質と言い換えてもよかろう。もちろん、その形質は人によってそれぞれ異なる。
そして、誰もが自身の望むべきものを叶えるために進み、結果的に不幸を引き起こしてしまうのである。読み手である我々にも覚えがあるはずだ。現状を続けることが幸せな結末に結びつかないと知ったからといって、たやすく自分自身を変えたりできるだろうか? いや人というのはそんな簡単に変えられたりしないものだと思う。これを読むあなたに思い当たる節がなくとも、私にはある。「人の弱さ」と非難するのは簡単だろう。だが、それは「弱さ」なのだろうか? 仮に「弱さ」であったとしても、それが私を形作るのなら、その「弱さ」を保ち続けてしまうことは往々にしてあることなのだ。

同じように物語に出てくる様々な人物にも、彼らの「容易には捨てられない本質」を見る気がするのだ。そこに生じるのは彼らを否定することではなく、受け入れ、共感することである。涙が頬伝うこともあれば、やり場のない怒りに打ち震えることもあるだろう。いつしか私は彼らの分身となり、彼らは私の分身となり、不可思議な調和の先で私たちは叫ぶ。

「悲劇を生み出してきたのはやはり自分であった」と。
「だが、ここで歩みを進めないのなら幸せは得られない」と。

先に進むことが必ずや幸せに結びつくとは限らないが、我々は進むことしかできないのである。行く先に眠る不幸を恐れて歩みを止めれば、それこそ最大の不幸へ繋がるのだと私たちは知っているのだから。

物語は一筋縄でいくものではなく、終わったかに見せかけて二転三転し、最後までプレイヤーを翻弄してくる。総じてプレイヤーの作り出した思い込みを反転させる展開、いわゆるミスリードが多いのだが、ある章のそれはまさに圧巻。大仕事と言えるその内容は、ぜひとも自身の目で確かめてほしい。
そしてもうひとつ。

「初めて泣いたゲーム」といったようなフレーズは、本人以外にはあまり意味を持たない場合が多い。しかし、私自身が忘れないためにも、あえてそれを承知でここにひとつ書き留めさせてもらいたい。

この手のゲームのプレイ経験は乏しい私だが、基本的には「まず自分だったらどうするか」をいつも念頭に置いてプレイしている(誰もがそうだろう)。ただ、すぐにバッドエンドになりそうな部分はそれを確認してしまう場合が多い。しかし、『ファタモルガーナの館』では違った。トゥルーエンドに進めるよう(初回プレイでもトゥルーエンドに達することは難しくない)、危険を避けようとしたし、全力を尽くした。ここまで強く意識して登場人物の幸せを手にしようと思ったことは未だかつてなかったと断言できる。

この手のゲームに関して「記憶を消してもう一度プレイしたい」という言葉もよく見かける。正直、私はその気持ちがあまり理解できなくて、好きなゲームである『Steins; Gate』でもそれを感じなかったのだが、本作で初めてその気持ちを理解することができた。

それほどまでに強く心を打たれたし、魂を揺さぶられたのが、この『ファタモルガーナの館』なのである。

大きな意味を持った選択肢の存在

本作には8つのエンディングと5つのデッドエンド(不条理な死)が存在する。いくつか分岐も存在しているが、ストーリー進行自体はトゥルーエンドに向かうほぼ一本道で、少しだけ枝分かれしていくつかのエンディングに繋がっている、という形だ。

特筆すべきは、特定のシーンにおける選択肢である。

ビジュアルノベルにおいて選択肢は、「世界を変える鍵」だ。『ファタモルガーナの館』についてもそれは変わらない。しかし、一部の選択肢は「世界を分岐させるための鍵」から脱却し、「『あなた』の意志への問いかけ」へと変貌しているのである。意志決定に焦点を当てたこの仕掛けは、「世界が変わるかどうか」という結果よりも「どうしたいか、どうするか」という過程への帰結をもたらしており、本作の物語とも相まってとても意義深いものとなっている。

これによって「物語を自身の手で選んで進めている」という感覚が強く、読後感も相当のものであると感じた。20時間弱に及ぶプレイ時間の長さが、プレイ後の充実感につながっているのは言うまでもないが、胸を満たす気持ちは決してプレイ時間だけが理由ではない。本作を手に取るかどうかを「一本道」という言葉で躊躇している人がいるのなら、私は迷うことなく手に取ることをオススメしたい。
全体を通した美しいデザインに、細かな部分の演出に至るまで手がかけられている

本作を本作たらしめているもの

個々の要素を分解して語っておいてから言うものなんだが、実は『ファタモルガーナの館』という作品について、それを構成している素材から語っていくのは不適当だと感じている。

たしかにそれらの良し悪しを語ることはできよう。だが、ピースが揃ったところでこの作品は完成しない。画材が揃えば画が描けるというわけではないし、楽器と譜面があれば誰でも同じように音楽を奏でられるというわけではないのだ。素晴らしいのは、かように作品をまとめあげた製作手腕である。それは製作指揮であるとも言えるし、指揮に応えた個々の製作者と見ることもできるだろう。

もう一度言おう。個々のピースを評するのは簡単だ。だが、本作の波打つような力強さはそこではないと思う。『ファタモルガーナの館』最大の美点は、すべての要素が渾然一体となった圧倒的調和だ。どのピースが欠けても完成しないし、ピースだけでも完成し得ない、そんな作品であると思う。だから、改めて本作を要素立てて語るのは不本意であったと、念押しする意味でもここに記しておきたい。
■■大切なことなので2回言いました■■
また、本作は斬新なゲームではない。その点においてはインディー、あるいは同人といった括りのゲームが持つエッジのようなものは(人によるとは思うが)ほとんど感じないと思う。基本的にビジュアルノベルという形態から飛び出るようなものではないのだ。

だがしかし。

その代わりにこれでもかというほどありったけの力で、あなたの琴線を殴りつけてくるし、涙腺をぶち壊してくる。物語が、画が、音楽が、プレイヤーの心を掴んで決して離さない。圧倒的なまでのパワープレイなのだ。したがってビジュアルノベルというジャンルに抵抗さえなければ、多くの人に受け入れられるゲームだと思う。

一方で開発者自身が言及しているように、商業ではかなり困難だろうというテーマを扱っている。本作のネタバレになってしまうため、ここでは具体的に言及しないが、その点においては「本作が同人ゲームから生まれた」というのは一種の必然であり、大きな意味を持っているのではないだろうか。

些細な問題点たち

本作に微塵の隙も感じない程度には『ファタモルガーナの館』が好きなのだが、ほかのプレイヤーが気になりそうなところをピックアップしておこう。念のために言っておくが、以下に示すのは本当に小さな問題でしかなく、プレイを避ける理由としては不適当である、と断言したい。

ひとつはテキストのテイスト。現代劇ではなく、中世から近世の欧米を舞台にしているが、キャラクターの台詞のなかには「スルー」とか「イケメン」とか、あまり世界観にそぐわないものが少しだけ登場する。頻出するわけではないが、その部分に関しては評価が分かれるかもしれない。また、ゲーム後半のとある章では、重苦しさが抜けて軽めの会話描写になる部分があり、そこでは私自身も少したじろいでしまったほどであり、その章に関しては好みが大きく分かれそうだと感じた。余談だが、地の文に関しては個人的にかなり好みだった。

イラストについては違和感を覚えたものが少数存在する。例えば、一部イラストにおける腕の長さが思い当たる。また、45枚*4あるスチルは、ものによってかなり雰囲気の異なるものがあるという印象を受けた。あえてそうしているのか、着色のせいなのか、そのほかの理由によるものかはわからないが、開発が4年に及んでいたこともあり、イラストを担当した靄太郎氏のなかで変わったものがあるのかもしれない。
違和感といっても私が具体的に説明できるものではない
なんとなく、そんな気がするレベル
体験版からデータの引き継ぎが行えないのも欠点と言えるだろう*5。ちなみに製品版を始めてエンターキーを押しっぱなしにして進めれば、途中に選択肢の決定があるとは言え、15分もあれば体験版の終わる部分まで読み進めることができる。

*4 加えて差分が57枚ある
*5 開発もこの問題を認識しており、この問題を解消したいと思っているようだ。
2013年5月27日追記
PLAYISMのTwitterアカウントによると、セーブデータの引き継ぎ問題は解消されているとのこと。すべての体験版がそうなっているのか、PLAYISMで配信中のものがそうなっているのかは不明だが、いずれにしても遅かれ早かれこの問題は全面的に解決するものと考えてよいだろう。


英語へのローカライズ、購入に関して

本作は日本語版のPLAYISMでの配信が決定し、売り上げ次第では英語版の制作も行われるようだ。私自身、一プレイヤーとして「日本の同人ゲームを英語化して売ってる会社は、このゲームを英語化しなくてどうする!」と金銭的なものなど深く考えずに強く感じていたのだが、英語化に関して障害がないわけではない。
ビジュアルノベルはテキスト主導のゲームなので、
基本的にローカライズにお金がかかりやすい
聖女、魔女といった要素が登場するし、ほかにも宗教観に根ざした
なかなかセンシティブな要素が主軸になっている。ビジュアルノベ
ルも、海外の人にとってはあまり馴染みあるものではないだろう。
かなりの力を持った作品であることに疑いはないが、金銭以外にも
なにがしかの障害がいくつかあるとは思う。
それでも『ファタモルガーナの館』の英語化が前向きに検討されているのはうれしいし、ぜひとも成功してほしいと願っている。

なお、本作のPLAYISMでの売り上げは、販売元のPLAYISMや開発のNovectacleではなく、全額ローカライズ費用に回されることになっているそうだ*6。『ファタモルガーナの館』はDLsiteでもダウンロード販売が行われているが、このような事情もあって、個人的にはPLAYISMでの購入を強く勧めたい。
■■これがステマなはずないだろ■■
*6 ローカライズが立ち消えになった場合やそもそもの目標金額といった詳細は不明

なお、物理メディア版はイベントや各種通販サイトで取り扱っており、Amazonからも購入可能。以下に購入できる場所を列挙しておく。

PLAYISM(ダウンロード版)
http://www.playism.jp/games/fatamorgana/
DLsite(ダウンロード版)
http://www.dlsite.com/home/circle/report/=/report/201303031
Amazon(パッケージ版)
http://www.amazon.co.jp/Novectacle-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%81%AE%E9%A4%A8/dp/B00CAKQRX2
メロンブックス(パッケージ版)
http://shop.melonbooks.co.jp/shop/sp_213001012903_novec_yakata.php
とらのあな(パッケージ版)
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/09/98/040030099800.html
D-STAGE(パッケージ版)
http://d-stage.com/shop/detail.php?seq=35202
AMPnet(パッケージ版)
http://www.ampnet.jp/item/item.php?iid=31385&type=detail&act=detail&ifg=

総括

『ファタモルガーナの館』は、「涙する」とか「感動する」とかを飛び越え、魂に凄まじいまでのパワーを打ち込んでくる作品だ。古典的なビジュアルノベルという枠組みはそのままに、シナリオ、ビジュアル、サウンド、演出といったものを極限までに磨き上げた同人ゲームのAAAタイトル(矛盾を孕んでいるように見えたって構わない!)と形容するに相応しい。

悲劇を扱う本作において、真実は悲劇に次ぐ悲劇の先にしかない。同じようにプレイヤーの望むカタルシスも決意に次ぐ決意の先にしかないのである。その決意なくして存在しえない展開は、本作の奥底に横たわる「人の心や想い」を鮮烈なまでに浮き彫りにし、キャラクターたちのみならず、それに向き合う我々をも裸にしていく。

開発Novectacleが目指したのは「ノベルを観劇にすること」だったそうだ。間違いなく、その理念は成功を収めているが、一方で本作はゲームらしい「開発者との闘争」と見なすこともできよう。『ファタモルガーナの館』では、彼らの矜持を、その意地を、際限なくぶち込んだ作品と真正面から向かい合うことができるのである。圧倒的な力でねじ伏せてくる作品の前で、前述のように我々は裸で立ち向かわなければならない。ありとあらゆるものを取り除き、魂だけがぶつかり合うそんな作品である。

「ビジュアルノベルだから」も「一本道だから」も「同人だから」も捨てろ。「ゲームだから」でさえも捨ててしまえ。館にかけられた永劫の呪いの物語と、そこで描かれる数多の感情、葛藤に対峙する勇気があるなら、答えは簡単だろう。問われるのは「あなた」の意志だけだ。

私は本作を「傑作」と呼ぶことに一切の疑念を抱かない。開発のNovectacleには、このように優れた作品に巡りあわせてくれたことに感謝したいし、また巡りあわせてくれることを切に願っている。
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